相談を受けたら「聞き役」に徹する

人から悩みの相談を受けたとき、話を聞きながら「言いたいこと」が頭に次々と浮かんできて、ついつい口にしてしまいます。

相手の話をさえぎってまで言ってしまうこともあるでしょう。

そうすると相手は、聞き手に対し、徐々に失望を感じるようになります。

気持ちがつらいときは、ただ話を聞いてほしい

例えば、子どもが学校でいじめに遭い、そのつらい胸の内を親が聞いているとしましょう。

最初は子どもの話をじっと聞いているのですが、弱音やグチを聞いているうちに、しだいに『励ましたい』『アドバイスをしたい』という気持ちがむくむくと大きくなります。

そして子どもの話に覆いかぶせるように親が話し始めます。

しまいには、

『そんなことはもう気にしなくていい』

『相手に言い返してやるくらいの強い気持ちを持ちなさい』

などと、説教のような流れになってしまいます。

もちろん、親としては子どものためにいろいろと教えたり励ましたりしたくなる気持ちは自然なものでしょう。

しかし子どもにとっては、つらい気持ちのときは「ただ話を聞いてほしい」だけなのです。

親自身の経験やアドバイスを聞きたいわけではないのです。

親が口をはさめばはさむほど、子どもは『自分のことを全然わかろうとしてくれない!』というイラ立ちの感情を持つようになります。

やがて、親に話してもムダだと思うようになり、心を閉ざし、自室にこもり、悩みごとがあっても打ち明けてくれなくなるでしょう。

相談を受けたら「聞き役」に徹する

相談を受けたときは、相手の気持ちに寄り添いながら、余計な口をはさまず「聞き役」に徹することが大切です。

共感的に話を聞いていくだけで、話し手は『自分のことを分かってくれている』と実感し、その悩みについてより深い本音の気持ちを話し始めるでしょう。

そして、話し手が自分の気持ちを受け入れられるようになると、自らの力で解決策を見出していくようになります。

長い目でみると、そのような関わり方が、相手にとって最も役に立つサポートになるはずです。

深刻な話であれば特に、聞き手は『聞き役に徹する』と意識するようにしましょう。

そうすることで『ついうっかり余計なことを言ってしまった』ということを防ぐことができます。