上司は部下に対して、業務上の注意や問題の指摘をしなければならないことがあります。
否定的な指摘をすると、部下は気分を悪くして不機嫌になったり、自分を守ろうとして「言い訳」や「責任転嫁」に必死になるかもしれません。
これは親子関係、夫婦関係でも起こりうることです。
注意や指摘を相手に素直に聞き入れてもらうことは、思いのほか難しいことです。
相手に「問題」を指摘するときの伝え方
こちらの思いを伝え、聞き入れてもらうためには、「伝え方(態度)」が重要です。
たとえば、遅刻をした部下に注意するとしましょう。
本人は反省していますが、ここで例えば、
『君はそんなふうに時間にルーズだから仕事もできないんだぞ』
『時間を守れないやつは社会人として失格だ』
などと、怒りにまかせて遅刻したことだけでなく、能力や人格までも否定してしまうと、相手は指摘された内容を素直に受け入れることができなくなるでしょう。
部下に改善してもらいたいのは、あくまで「遅刻」に関することです。
感情にまかせて言う必要のない批判までしてしまい、部下との関係を悪くしてしまうケースは少なくないでしょうか。
「行動のみ」にしぼって伝える
では、相手に注意や指摘を聞き入れてもらうためには、どのような伝え方をするとよいのでしょうか。
その効果的な方法のひとつに「問題になっている行動のみを指摘する」という伝え方があります。
「行動のみ」というところがポイントです。
上司の目から見て、部下の性格や勤務態度など普段から気になっていることがあるとしても、いま起こっている問題と直接関係のない話であれば、そのことには一切触れず、改善してもらいたい問題行動のみにしぼって伝えるということです。
先の部下の遅刻の例では、たとえば、
『遅刻は困るので、何とか協力してもらえないか?』
というように、「遅刻」のみに焦点を当てて伝えるのです。
穏やかな口調で、短い言葉で伝える
そのときに、責めるような口調ではなく「ゆっくり」と「穏やかに」伝えると、部下はより聞き入れやすくなるでしょう。
その他にもいくつかポイントがあります。
・周りに人がいない所で伝える(他の人に聞こえないようにする)
・できるだけ短い言葉で伝える
このように伝えると、部下の心理的な抵抗が小さくなり、聞き入れやすくなります。
要点のまとめ
人に問題や間違いを指摘するときのポイントは、
・問題行動のみを指摘する(関係のない話を織りまぜない)
・周りに人がいない所で伝える(他の人が聞こえないように)
・穏やかな口調で、短い言葉で伝える(責められている感じを与えない)
このような伝え方は上司と部下の関係だけでなく、親子関係、夫婦関係でも、もちろん有効です。
相手に何か言いにくいことを指摘したいときは、ぜひこの方法を試してみてください。
(次ページ)「あなたが悪い」は禁句。善悪の判断をしてはいけない!
「傾聴」の大切さについて
豊かな人間関係を築くために大切なこと
傾聴のコツ ①
アドバイスをしたくなったら要注意!
傾聴のコツ ②
「あいづち」は、相手の言葉をそのまま返す
傾聴のコツ ③
「うなずき」は、ゆっくり、大きく、深く
傾聴のコツ ④
常に目を見て話すより、大事なときだけ目を合わせる
傾聴のコツ ⑤
落ち込んでいる相手を無理に励ます必要はない
傾聴のコツ ⑥
相手が良い報告をしてきたら、一緒に喜んであげよう!
傾聴のコツ ⑦
相手に「問題」を指摘するときの伝え方
傾聴のコツ ⑧
「あなたが悪い」は禁句。善悪の判断をしてはいけない!
傾聴のコツ ⑨
相談を受けたら「聞き役」に徹する。余計な口をはさまない!
傾聴のコツ ⑩
会話がスムーズに進む技法「リフレクション」