「あなたが悪い」は禁句。善悪の判断をしてはいけない!|会話のコツ⑧

「あなたが悪い」は禁句。善悪の判断をしてはいけない
たとえば、妻子ある男性を好きになり、不倫関係になってしまった女性がいるとしましょう。
世間一般の価値観では、不倫は肯定的には受け入れられないでしょう。しかし恋愛は理屈でするものではありません。お互いに好きになってしまい、道徳的には悪いことだと分かっていながらも関係を持ってしまったのです。
そして、その苦しい胸の内をあなたに相談してきました。そんなとき、彼女にどのような言葉をかけてあげるのがよいのでしょうか。
『相手の奥さんや子ども、あなたの将来のことを考えたら絶対良くないことだよ』
『今すぐ別れたほうがいいよ』
などといったアドバイスをすることもできるでしょう。しかし、聞き手が「善悪の価値観」にとらわれていると、相手はそれを敏感に感じ取り、正直な思いを話せなくなってしまいます。
良くないことをしていると本人も十分に分かってはいるのですが、それでもどうしようもなく好きになってしまったのです。それなのに、相談した相手から『良くないことだ』とバッサリ否定されてしまっては、ますます追い詰められた気持ちになってしまいます。
思いを受けとめられると、自分の気持ちに素直になる
聞き手として、ここで相手の話をきちんと聞いてあげることができれば、相手も自分の気持ちに素直になることができ、自身の心の声に向き合うことができるようになります。
そのために大切なことは、相手の話している内容について「善悪の価値判断をしない」ということです。必要なことは善悪の判断ではなく、あくまでも相手の気持ちに寄り添って、しっかりと相手の思いを受け止めていくことなのです。
先の不倫の相談であれば、たとえば次のような言葉を、穏やかな口調で伝えてみるとよいでしょう。
『自分でもよくないことだって思っているだよね。でも相手の人への気持ちが抑えられなくて、その気持ちをどうすればいいのかも分からなくて困っているんだね』
このように相手の思いを受けとめ、それを伝え返しながら話を聞いていると、人はなぜか自然と自分の心に素直になっていきます。
良い悪いといった判断をされたりアドバイスを聞かされることなく、ただただ「寄り添っていてくれる人がいる」と心の底から実感できれば、人は自身の心の声に耳を傾け、自分にとって「大切なことは何か」ということに気づいていくものなのです。
(次ページ)相談を受けたら「聞き役」に徹する。余計な口をはさまない!
「傾聴」について
良好な人間関係を築くために大切なこと
<会話のコツ①>
アドバイスをしたくなったら要注意!
<会話のコツ②>
「あいづち」は相手の言葉をそのまま返す
<会話のコツ③>
「うなづき」はゆっくり、大きく、深く
<会話のコツ④>
常に目を見て話すより、大事なときだけ目を合わせる
<会話のコツ⑤>
落ち込んでいる相手を無理に励ます必要はない
<会話のコツ⑥>
相手が良い報告をしてきたら、一緒に喜んであげよう!
<会話のコツ⑦>
相手に「問題」を指摘するときの伝え方
<会話のコツ⑧>
「あなたが悪い」は禁句。善悪の判断をしてはいけない!
<会話のコツ⑨>
相談を受けたら「聞き役」に徹する。余計な口をはさまない!
<会話のコツ⑩>
会話がスムーズに進む技法「リフレクション」