「アドバイス」をしたくなったら要注意
相談を持ちかけられたときに、聞き手がすべき大切なことは、相談者が安心して話せるような雰囲気をつくることです。
相談者が「安心できない」と感じてしまう原因のひとつに、聞き手の安易な「アドバイス」があります。
「アドバイス」は基本的に相手に「安心感」を与えることができません。
なぜなら、アドバイスというのは『あなたのここが問題だから、こう変えたら?』という、相手を否定するニュアンスが含まれるからです。
たとえ、相手の悩みにそった適切なアドバイスであったとしても、相手は自分を否定されたと感じたり、上から目線の偉そうな態度に感じてしまう場合があるのです。
そのため、安易にアドバイスをする人には、心を開いて悩みを話すことに抵抗を感じてしまうのです。
そのアドバイスは「相手のため」になっているか?
アドバイスをしたがる人は、アドバイスによって「相談者の悩みを軽くしてあげたい」というよりも、アドバイスをすることによって「自らの不安」を軽くしようとする「隠れた意図」がある場合があります。
つまり、相談者の悩みに向き合い理解を深めていくのは聞き手にとっても楽ではないので、適当なアドバイスをすることでその話を早く終わらせ、聞き手自身の不安や苦痛を解消しようとするのです。
(このような心の動きは、聞き手自身も気がついていません。)
また、話を少し聞いただけでアドバイスをしたがる人は、話の一部分だけを切り取って、自分の経験や価値観にもとづいた「自分目線」の解釈でアドバイスをしているに過ぎません。
そのため、往々にして相手の気持ちに添っていない「アドバイスの押し付け」になってしまうのです。
また相談者ではなく、聞き手の方が一方的に話をしている場合も注意が必要です。
聞き手が自身の考えや経験を語ることに酔っている場合があり、そのようなときは相談者は相手の話を聞くのを苦痛に感じているものです。
大切なことは、自分の考えを「押し付けない」こと
とはいえ、聞き手が自分の考えを述べたり、アドバイスをすることがすべてダメというわけではありません。
「良いアドバイス」として相談者に受け入れられ、役に立つ場合も、もちろんあります。
それは、相談者がアドバイスを受け取る「心の準備」ができているときに、相談者が聞きたかった情報を「押し付けることなく」伝えられているときです。
そのようなときは、相談者は自身を否定されたと感じることなく、アドバイスや意見を有益な情報として聞き入れることができます。
大切なことは、相談者にアドバイスを受け入れる準備ができているかを慎重に判断し、自分の考えや意見を「押し付け」にならないように配慮しながら、相手に伝えることです。