アダルトチルドレンの人は「恋愛が苦手」という人が少なくありません。
その理由のひとつは、
「親に愛された、大切にしてもらった」といった経験が少ないことと関係しています。
「愛されている」と実感することが少なかったため、人との関係のなかで不安になりやすいのです。
そして、不安にかられてとってしまう行動で、関係をこじらせてしまうのです。
ここでは、アダルトチルドレンの人の「恋愛」がうまくいかない理由についてお話ししていきましょう。
「恋愛」がうまくいかない理由
理由① 楽しいことが分からない
アダルトチルドレンの人の多くは「慢性的なうつ状態」といわれています。
これは子どものころの「喪失体験」と関係しています。
アダルトチルドレンの人は「普通の子ども」であったことがなく、
多くの人が子ども時代にするような「自由でのびのびとした子どもらしい経験」がほとんどありません。
子ども時代の「楽しい思い出」がとても少ないのです。
そのため、アダルトチルドレンの人にとっては「楽しむ」ということがよく分かりません。
どうすれば「異性と楽しく過ごせるのか」そのやり方が分からないため、
異性と親密になることを避けてしまうのです。
理由② 相手を信用できない、傷つくのが怖い
子どもが親を信頼するのは自然なことです。
なぜなら子どもは、全面的に親から世話をしてもらう立場にあるからです。
そして多くの子どもたちは、健全な家庭環境のなかで、さまざまな欲求をみたされながら育ちます。
一方で、機能不全の家庭の子どもは、欲求がみたされることが少なく、
親の気分や気まぐれにふりまわされることになります。
そうすると、子どもは親を信頼して欲求をみたしてくれるように期待すると、裏切られ、傷ついてしまうことになるのです。
そのような経験を通して、子どもは親やまわりの大人を信頼しなくなっていきます。
人を信頼すると「傷つけられて、つらくなる」と思い込んでしまうからです。
そして「人はみんな自分を裏切る、誰も信用できない」と考えるようになります。
このような考えを、異性に対しても抱いてしまうため、相手を心から信頼することができなくなるのです。
相手から拒絶され、傷つくことの恐怖から、
異性を前にすると逃げ出したくなったり、相手に好意の気持ちを伝えることができなくなるのです。
理由③ どう振る舞ったらいいのか分からない
アダルトチルドレンの人は、自分と相手の「境界線」を引くことが苦手です。
そのため、相手の気持ちを考えずに「かかわり過ぎてしまう」ことがあります。
また、それとは逆に「相手の要求を受け入れ過ぎてしまう」といったことも起こります。
これは、アダルトチルドレンの人が育った家庭では、家族のあいだの「境界」があいまいだったためです。
「母親の役割」「父親の役割」「子どもの役割」といったものが明確ではなかったのです。
つまりその時々で、子どもが「母親」のようになったり、
「父親」のようになったり、「子ども」になったりと、役割がコロコロ変わっていたのです。
このような「人との関わり方」は、親に対してだけでなく、家族以外の人に対してもおなじように起こります。
当然、異性に対しても起こります。
アダルトチルドレンの人は、恋愛関係のなかで、
「自分がどんな役割で、どのように振る舞ったらいいのか」分からず、混乱しています。
子どものようになったり、親のようになったり、気分によってコロコロ態度が変わるので、
相手は愛想をつかしてしまうのです。
理由④ 相手を自分の思い通りにコントロールしたい
子どもが安心してくらせるように環境をととのえるのは親の役目です。
家庭が経済的に安定して、そして精神的にも安定するように努めるのも親の役目です。
なぜなら、幼い子どもには家族や生活を支える力がないからです。
機能不全の家庭では、家族のみんなが精神的に不安定です。
経済的にも不安定になりがちです。
そうすると家庭のなかで、さまざまな問題が起こるようになります。
酔っぱらった父親のめんどうをみたり、夫婦げんかを止めに入ったり、
母親のグチを聞いたり、子どもは必死で家族を、親を支えようとします。
アダルトチルドレンの子どもは、家庭が崩壊しないように家事をこなし、
親が仲良くなるように必死でがんばるのです。
そういったことをやり続ける中で、
しだいに「すべてを自分の思い通りにコントロールしたい」と思い始めます。
なぜなら、家のことをすべて自分の思い通りにコントロールができたら
「家庭が平和になる」と信じているからです。
家庭が平和になるというのは、
「親が仲良くなる」「親が優しくなる」ということです。
それは子どもにとっては「つらい生活から解放される」ことを意味します。
しかし実際にはそれは「幻想」で、その願望は叶わないまま子ども時代が終わります。
幼い子どもがいくらがんばっても、親を変えることはできないからです。
アダルトチルドレンの人は、無意識にこのような考え方が根づいています。
そのため、恋愛のなかで、相手を「自分の思い通り」にしようとして関係をこじらせてしまうのです。
理由⑤ 自分の気持ちが分からない
アダルトチルドレンの人の「最大の願望」は「自分を受け入れてもらうこと」です。
機能不全の家庭で育った子どもは、
親に自分の気持ちが認められ、受け入れられることはほとんどありませんでした。
自分の素直な気持ちを表現すると、
馬鹿にされたり、笑われたり、怒られたり、様々な形で否定され続けました。
そして自分の気持ちに自信が持てなくなります。
やがて自分の気持ちが「分からなく」なります。
感情を完全におさえこんで「感情を全く感じない」状態になることもあります。
自分が何を考えているのか、何を感じているのか分からなくなるのです。
それは大人になってからも続きます。
人は自分の感情がよく分からなければ、
人に嫌なことをされても腹が立たない、怒りの感情がわかない、ということになります。
モヤモヤはするけれども「うまく言葉にできない」といったことも起こります。
それは、ネガティブな感情だけでなく、ポジティブな感情についても同じです。
恋愛というのは濃密な人間関係なので、
ポジティブな感情、ネガティブな感情、さまざまな感情がわき起こるものです。
そこで自分の気持ちがよく分からなかったり、うまく言葉にできなければ、
恋愛関係はとてもストレスに満ちたものになります。
要点のまとめ
アダルトチルドレンの人の恋愛がうまくいかない理由は、次のとおりです。
- 楽しいことが分からない
- 相手を信用できない
- 傷つくのが怖い
- どう振る舞ったらいいのか分からない
- 相手を自分の思い通りにしたい
- 自分の気持ちが分からない
自分に当てはまっている部分がないか、よく振り返ってみてください。
自分の考え方のパターンが見えてくるかもしれません。
自分の考え方や行動のパターンが分かるようになると、
それを変えられるあと一歩のところまで来ています。
みなさんが恋愛を楽しんでいかれますように!