アダルトチルドレンによくある5つのタイプ
アダルトチルドレンには、さまざまなタイプがあります。
一見すると、正反対のように見えるタイプもあります。
ここでは、代表的な5つのタイプを紹介しましょう。
ヒーロー(Hero)|タイプ①
「ヒーロー」とは、親の期待にこたえようと必死になる子どものことです。
勉強やスポーツでよい成績をとり「認められる」ことに全力をそそぎます。
その行動は自分のためではありません。
「親のきげんをとり、家庭の雰囲気を悪くしない」ための行動なのです。
「条件付き」の愛情をあたえる親のもとで育つと、このタイプになりやすいでしょう。
学校の先生や周りの人から、しっかり者で努力家だと評価されても、本人は全くうれしいとは思いません。
ほめられると、逆にイライラしてしまうこともあるくらいです。
本人は、前向きな気持ちで取り組んでいるわけではないからです。
イヤイヤな気持ちで、がまんをしてやっているので、人からほめられても素直によろこべないのです。
このような行動は、勉強やスポーツでよい成績をとれているうちは問題はおこりません。
しかし、一度失敗してしまうと、とたんに心が折れてしまい、全くやる気を失ってしまうことがあります。
このタイプの子どもは、
「優秀でない自分は価値がない」
「がんばらないと見捨てられる」
といった思い込みを強くもっています。
いけにえ(スケープゴート/Scapegoat)|タイプ②
「いけにえ(スケープゴート)」の子どもは、ヒーローとは全く逆の行動をとります。
このタイプの子どもは、暴力や万引きなど、学校や社会で問題をおこします。
また、学校で極端にわるい成績をとったりして、家族のなかの「悪者・問題児」となるような行動をとるのです。
そのような役割を演じることで、両親がもっている「憎しみ、怒り、不満、うらみ」といったネガティブな感情を、子どもが一身に引き受けようとします。
そうすることで、親自身の問題から目をそらし、家族がバラバラになることを防ごうとするのです。
またこのタイプの子どもは、寂しさを感じやすく、やっていることとは反対に「自分を認めてほしい」「甘えさせてほしい」といった思いが強くあります。
そういった葛藤がこころの内にありながらも、くりかえし問題をおこしてしまうのです。
大人になってからも、怒りっぽい、暴力的、依存しやすいなど、人間関係で苦労することが多くなるタイプです。
世話焼き(ケアテイカー/Care taker)|タイプ③
「世話焼き(ケアテイカー)」は、幼いころから弟や妹の世話をし、さらに親のめんどうまで見て、家族全体を支えようとします。
本来は親がすべき家事や育児を、親がやらないため、その代わりにやる(やらされる)ようになります。
決して前向きな気持ちでやっているわけではありません。
怒り、悲しみ、さみしさといった気持ちを抱えながら、身をけずって家族のめんどうを見ようとします。
このような行動は、家庭が崩壊しないようにするためのもので、親の問題に対して自分に責任があるかのように努力するのです。
テキパキしたしっかり者ですが、いつしか家族のせわをすることに生きがいを感じるようになり、
「自分は本当はどうしたいのか、どう生きたいのか」分からなくなります。
そして、自分の人生について真剣に考えないまま成長し、
大人になってから「自分は何がしたいのか分からない…」といったことで悩んでしまいます。
また、このタイプの子どもは、泣いている母親をなぐさめたり、グチを聞いてあげたりすることもよくあります。
そのように親に依存されても、
「私は親に頼りにされている」
「私がいないと親は困るだろう」
と考え、親に人生をしばられてしまうのです。
存在しない子(ロスト・ワン/Lost one)|タイプ④
「存在しない子(ロスト・ワン)」とは、まるで家族から切り離されているかのようにふるまう子どものことです。
家のなかでは静かにおとなしく過ごし、家族のなかで存在感をなくして生活しようとします。
ひどい場合は、家族旅行に行くことになっても連れて行ってもらえず、その間どこかに預けられるようなこともあります。
学校でも空気のような存在で、いつも一人ぼっちでさみしい思いをして過ごします。
このタイプの子どもは、家庭や学校で問題をおこさないように過ごし、
「おとなしくて手がかからない子」「目立たない子」と思われ、周りからは注目されません。
(何かのひょうしで注目を浴びたときには、集団で笑われ、深く傷つくことがあります。)
大人になると「自分は誰にも必要とされていない…」と感じ、さみしさや孤独感をもつようになります。
ピエロ(Clown/お調子者・道化師)|タイプ⑤
「ピエロ」は、家庭の雰囲気が暗くならないように、おどけたり、冗談を言ったりして親を笑わせようとする子どものことです。
家族の雰囲気を明るくしようと必死で努力します。
一見おちゃめで明るく見えますが、実際はそうではありません。
まわりの空気にとても敏感で、人の顔色を常にうかがっています。
内心ではビクビクしていて、雰囲気が悪くならないように常に気をつかっているのです。
そのため、いつも不安とストレスを感じながら過ごしているのです。
心のなかでは、いつも「ひとりになりたい…」と思っています。
まわりに気をつかうことに疲れてしまい、引きこもってしまう場合もあります。
うつっぽくなって、何もやる気がなくなってしまうのです。
また、学校ではクラスを盛り上げるリーダー的な存在になることがあります。
友達もたくさんいるように見えますが、実際には人を信用しておらず、本当に心を打ち明けられる友だちはほとんどいません。
このタイプの子どもは、つらさ、悲しさ、怒りといった感情を自分のなかに押し込めてしまいがちです。
自分の感情がよく分からないまま、いつもおどけてまわりを笑わせるようなキャラを演じているのです。
そしてときどき、電池が切れるかのようにうつ状態になってしまいます。
アダルトチルドレン「5つのタイプ」の共通点
ここでは、アダルトチルドレンの「5つのタイプ」を紹介しました。
それぞれのタイプは、一見すると全くちがった特徴をもっていますが、共通している点もあります。
それは「自己肯定感が低い」「自分に自信がない」ということです。
「自分には価値がない」「自分は人よりおとっている」「自分はダメな人間だ」
そういった考えが心のなかを占めているのです。
アダルトチルドレンの人のなかには「自分はすごい人間だ」と現実ばなれした優越感をもっている場合があります。
また、他人をバカにしたり、見下したりする人もいます。
けれども、そのような人は実は自己評価が低く、自分の本当のすがたを人に見られることをおそれているものなのです。
そのため、ブランド物で身をかためたり、自分の能力などを実際よりも良く(大きく)見せようとしたりします。
またそれとは逆に、目立たように、注目されないように、集団の中にまぎれて、ひっそりとおとなしく過ごそうとする人もいます。
アダルトチルドレンの人は、どのようなタイプであっても、
「人から悪く思われないように」
「人から責められないように」
必死の思いで生きているのです。