勉強のやる気の出し方【中学生・保護者向け】

『子どもがなかなか勉強に取りかからない』

『勉強を始めてもすぐに気が散ってしまう』

そのような悩みを解決するために、親はどのようなサポートができるのでしょうか?

ここでは、子どもの勉強のやる気の出し方、集中力を高める環境づくりについて説明していきます。

対象は中学生の子どもとその保護者を想定していますが、高校生や大人でも役に立つ部分があると思います。

勉強のやる気、集中力を高める環境づくり

子どもが勉強に集中できる環境として、この3つはとても重要です。

「勉強に集中できる環境」とは?

①「周りに気になる音がない」

②「遊び道具が周りにない」

③「保護者が見守れる環境」

③は親の生活スタイルや家の構造などによっては難しい場合もありますが、①と②は必須です。

集中できる環境① 「周りに気になる音がない」

家族の協力は不可欠

定期テスト前など特に集中力が必要なときは、家族の協力は不可欠です。

テレビは音量を小さくするのではなく、電源を切った方が良いでしょう。テレビの微かな音でも気が散りますし、また、③と関係しますが、親の視線(意識)がテレビに向いていれば、本人は寂しいような何か複雑な気持ちになり、やる気や集中力が低下してしまいます。

兄弟姉妹のいる家庭では、彼らに理由を説明し、静かに過ごすように協力してもらいます。生活音が少なくなり集中しやすくなることに加えて、家族みんなが協力してくれていると感じることで一体感が生まれ、やる気、意欲が高まるという効果もあります。

やる気を高める「雰囲気づくり」

「音」からは少し話はそれますが、子どもが勉強しているときに「親や他の家族がどのように過ごすか」ということも大切です。

子どもが勉強をしているときは、親や他の家族も何か有意義な活動をして過ごすと、より本人のやる気や集中力を維持できる「雰囲気づくり」ができます。(有意義な過ごし方の例として、家事をする、勉強をする、本を読むなど。)

音が気になる人は「耳栓」がおススメ

周囲の音が気になる人は「耳栓」がおすすめです。

集中力に関する研究では、記憶する作業(インプット)は静かな環境の方が集中しやすく、考える作業(アウトプット)は、逆に少し騒がしい環境やBGMがある方が集中力が高まるとされています。

この研究結果にしたがえば、暗記モノの勉強をするときは耳栓を付け、問題を解くときは耳栓をはずせば良いということになります。もちろん、静かな方が集中できるという人は、問題を解くときも耳栓を付けたままでOKです。耳栓をするかしないかは集中しやすい方を選べば良いでしょう。

音に対しての感受性

音に対しての感受性、敏感さは大きな個人差があります。特に発達障害、ASD(自閉スペクトラム)の傾向のある人は「聴覚過敏」をもっている場合があります。(大人も含め、環境音に敏感な人は全体の10~20%くらいはいるのではないかと思います。これと関連して、最近ではHSP(Highly Sensitive Person)という言葉も出てきています。)

聴覚過敏を持っている人は、他の人が気にならない音でも過剰に気になってしまい、気が散りやすく、イライラしやすくなります。普通に生活しているだけで消耗し、疲れてしまっている場合もあります(無気力な人、やる気のない人と見られることも)。

そういう人は耳栓をして環境音を遮断すると疲れにくくなるので、やる気、集中力を維持しやすくなります。

ここまでのまとめ

● テレビや音の出る機器は切っておく

● 家族の協力が不可欠(家族のサポートを感じることで心理的にプラスの効果も)

● 家族の過ごし方を工夫して「雰囲気作り」を心がける

● 音が気になる人は「耳栓」をする

集中できる環境② 「遊び道具が周りにない」

見えるところにスマホを置かない

環境づくりを考えるうえで、遊び道具を身近に置かないことはとても重要です。

人間は無意識のうちに注意を周囲に分散させているので、気になる物や音があると、自覚はなくても注意力や集中力は低下してしまいます。(周囲に注意が分散してしまうのは、猛獣などに襲われないようにするための「生存本能」といわれています。)

見える範囲にスマホがあると(電源を切っていても)作業効率や集中力が低下するとの研究報告があります。スマホ、マンガ、ゲーム機などは、テスト期間中(たとえばテスト一週間前から終了まで)は親に預かってもらうか、「封印箱(ダンボール箱)」に封印する(テープで閉じる)のが良いでしょう。(封印箱はテスト終了後にはお楽しみの「宝箱(ご褒美)」になります!)

特にスマホの使い方については親子でよく話し合い、ルールを決めると良いでしょう。

ルールの決め方(動機づけの観点から)

ルールを決めるときに、”動機づけ” という観点から重要なポイントがあります。それは、「親がルールを決めて子どもに押し付けない」ことです。

心理学の動機づけに関する研究では、「自分で決めたこと(選択したこと)」は頑張る傾向にありますが、他人から押し付けられたことには意欲が低下します。

実際には誘導されていたとしても、「自分で決めた(選択した)」と思っていれば、その効果はあります。

親の方が子どもよりも知識も経験もあるので、子どもにとって良いと思うルールを、まずは親が考えるとよいでしょう。そして、それを子どもに提案し、話し合います。

話し合いの中で、ほんの小さなことでも子どもに選択の余地を与え、最終的に子どもが「自分で決めた」と思えるように話を進めます。そうすると、そのルールは親から一方的に押し付けられたものではないため、子どもはそのルールを守ろうとする意志を持ちやすくなります。

ここまでのまとめ

● スマホ、ゲーム機、マンガ等は親に預けるか箱にしまう
(テスト後には「頑張った自分」へのご褒美になる)

● ルールは親が押し付けず、よく話し合い、最後は子どもが決める
(特にスマホの使い方についてはよく話し合う)

集中できる環境③ 「保護者が見守れる環境」

リビングでの勉強がおススメ

リビング、もしくはそこに近い場所で勉強することは、やる気と集中力を保つのに有効です。リビングで勉強する子は、勉強に対し前向きで、成績も優秀な人が多いといいます(高校生プロ棋士の藤井聡太さんもリビングで勉強と将棋の研究をしているそうです)。

親が見守ってくれていると感じることで生まれる安心感、親の存在(視線)を意識することで生まれる適度な緊張感、それらによって、やる気、集中力が維持されるものと考えられます。

親子の信頼関係が必要

ただし、その環境で子どもが落ち着いて勉強ができるか(やる気と集中力が保てるか)は、親との関係性が強く影響します。子どもが「監視されている」「見張られている」と感じるようであれば、その環境では落ち着いて勉強することは難しいかもしれません。

ですから、日ごろから子どもに口うるさく言わない、干渉し過ぎないことが大切です。子どもは、親から「信頼されている」「見守ってくれている」と感じることで、安心して目の前のことに集中できます。普段から子どもを信頼し、子どもの主体性を尊重した関わり方を心がけてください。

ここまでのまとめ

● リビングでの勉強がおススメ

●「親が見守れる環境」で子どものやる気、集中力は高められる

● 口うるさく言わない、干渉しすぎない。子どもを信頼し、主体性を尊重する

やる気が(少しだけ)アップ!簡単、手軽な方法

やる気の上がる簡単、手軽な方法をいくつか紹介しましょう。やりやすいものをいくつか組み合わせて試してみてください。

「やる気が(少しだけ)アップする」方法

①「音楽を聴く」

②「首のストレッチ」

③「眼球運動」

④「よし!と声を出す」

⑤「勉強を始める」

⑥「目標、計画を立てる」

やる気アップ① 「音楽を聴く」

好きな音楽を聴くとアドレナリン、ドーパミンが分泌され、気分が高揚しやる気が高まります。

多くのプロスポーツ選手も試合前に好きな音楽を聞き、気持ちを落ち着かせ、集中力を高めます。

ただし、音楽を聴くのは勉強を始める前だけにし、勉強している最中は音楽(BGMを含む)を聴くのは避けた方が良いでしょう。どのような種類の音楽(BGM)でも、作業に対しての集中力を低下させるとの報告があります。

静かすぎる場合は「自然音」のBGMを

一方で、静かすぎて落ち着かない場合や、騒音(環境音)のマスキングのためのBGMは有効です。

その際のBGMとしては、海・山・川などの「自然音」か、ゆっくりとしたテンポのクラッシック音楽を低音量で流すのが良いでしょう。

歌詞のある音楽はBGMとしては不向きです。無意識下で脳の言語領域が反応してしまい、注意力、集中力が散漫になってしまうためです。

やる気アップ② 「首のストレッチ」

軽い運動(散歩、ストレッチなど)は気分を良くする効果があります。

勉強の前のストレッチはやる気や集中力を高めるのに役立つでしょう。また、疲労回復、認知機能の回復、脳の活性化などの効果もあるので、勉強の休憩の際にするのもおすすめです。

やる気アップ③ 「眼球運動」

「眼球運動」もやる気、集中力を高めるのに役立ちます。

EMDRという心理療法がありますが、眼球運動は脳に直接働きかけ、気分・感情を安定させる効果があります。その他、疲労回復、脳の活性化の効果もあるので、休憩時に取り入れるのもよいでしょう。(具体的な方法についてはまた別の機会に解説します。)

やる気アップ④ 「よし!と声を出す」

「よし!」などのかけ声や前向きな言葉を声に出すのは、やる気の高めるのに有効です。

背筋を伸ばす、胸を張る、ガッツポーズをする、笑顔を作るなど、体の姿勢、ポーズ、表情などを意図的にポジティブなものに変えることで、気分が明るくなり、前向きな気持ちになりやすくなります。

同様に、ポジティブな言葉やかけ声などを「声に出して言う」ことも脳や気分に良い影響があります(心の中で考えるだけではなく、実際に「声に出す」ことが重要)。

ただ、気持ちがないのにポジティブな言葉やかけ声を口に出して言うのは少し抵抗があるかもしれません。その場合は「目標を声に出して言う」ことがおすすめです。自分で決めた目標には「自分の思い」があるので、気持ちを込めて言うことができるでしょう。

やる気アップ⑤ 「勉強を始める」

”最強”のやる気スイッチは「実際に勉強を始めること」です。

とにかく、”始めること” が大切です。そのためにできる工夫やポイントをいくつかあげてみましょう。

「勉強を始める」ときのポイント

1.軽い気持ちで始める
「10分だけ勉強しよう」「一問だけ解こう」くらいの気持ちで始める。

2.やることを前もって決めておく、導入をルーチン化する
やることが決まっていると、行動を起こす障壁が下がり、開始しやすくなります。

3.好きな科目、得意な科目から始める

4.できるだけ易しい問題から始める

5.勉強する環境を整えておく
先にお話ししたの勉強の「環境づくり」を参考にしてください。

6.教科書などを音読する
「声に出す」ことで脳にスイッチが入ります。(音読を多用した勉強法はおすすめです!)

7.「作業興奮」について知っておく
作業興奮(最初はやる気がなくても、やっているうちに自然とやる気が出てくる)という脳のメカニズムを知識として知っていると、やる気が出ないままでも勉強を始めやすくなります。

やる気アップ⑥ 「目標、計画を立てる」

目標を設定し、学習計画を立てることはやる気、集中力を高めるのに役立ちます。

それを紙に書き出し、見えるところに貼っておくとより効果的です。また、④でお話ししたように「目標を声に出して言う」ことは、やる気スイッチを入れる簡単な方法として使えます。

目標を設定するときのポイントはこの3つです。

1.具体的な数字を入れる
2.「達成目標」と「行動目標」の両方を考える
3.難しすぎず、易しすぎず

「達成目標」 ⇒ 順位〇%以内、〇番以内、英語〇点以上、など
「行動目標」 ⇒ 数学のワークを〇日までに終わらせる、社会のワークをコピーして〇回繰り返す、など

「達成目標」の良いところは、意欲を高めることができること。マイナス面は、自分以外の要因によって達成できたりできなかったりすること。

「行動目標」の良いところは、具体的に何をすればいいか明確であること、努力をすれば必ず達成できること。

また、目標を家族や友人に「宣言する」のも、やる気を高める効果があります。

目標、計画を立てる ⇒ 見えるところに貼る ⇒ 声に出して言う ⇒ 家族や友人に宣言する

やる気を引き出すために最も大切なこと

最後にお伝えしたいこと、、、

やる気が出るための前提

「やる気が出る」ためには前提として、これらのことが必要です。

1.体調が良いこと
2.睡眠が充分にとれていること
3.大きな悩み、不安、ストレスがないこと

これらのうちひとつでも欠けると「やる気」「集中力」を保つのは難しくなります。もしこれらに問題があれば、そちらの解決を優先してください。

子どものやる気を引き出すために…

普段の生活の中で、子どものやる気を引き出すために ”親がすること” は、、、

1.生活環境を整える
2.体調管理(特に食事と十分な睡眠の確保)
3.悩みを聴いて心を軽くしてあげる(アドバイスなどをせずに)
4.進路や将来の夢などについて話し合う

(『勉強しなさい!』なんて言う必要は全くありません!)