発達障害の治療の基本は、環境調整と生活スキルの習得です。そして必要に応じて薬物療法が行われます。

発達障害のカウンセリングでは、病気の特徴についての理解、生活スキルの習得、不安やストレスの軽減と対処法などについて話し合います。

発達障害とは?

「発達障害」とは、生まれつき脳機能の特性に「かたより」があることによって現れる障害のことです。

ここではまず発達障害の特徴、原因、種類について見ていき、その後にカウンセリングについて説明します。

発達障害の特徴

発達障害とは、生まれつき特徴的な思考や行動、感情、能力などをしめす障害のことです。

発達障害の主な症状として、以下のようなものが挙げられます。

・落ち着きがなく動き回る
・他人とのコミュニケーションが円滑に取れない
・特定の物事へのこだわりが強い
・衝動的な行動

発達障害の特徴として、非常に高度なことや難しいことは理解できるのに簡単なことは理解できない、あるいは理解しようとしない(興味が持てない)ことが挙げられます。このように、得意なことと不得意なことの差が大きいのも発達障害の特徴です。

また、幼少期や思春期には発達障害の症状や特徴が目立たず、大人になってから発達障害の特徴が現れ始める、いわゆる「大人の発達障害」も存在します。

発達障害の原因

発達障害の原因は、生まれつきの脳機能の問題にあると言われています。

以前は、養育環境や育児方法(母親の育て方)が悪いと発達障害になると言われていましたが、現在はその説は否定されています。

また一部のメディアでは、特定の化学物質やアレルゲンが発達障害の原因であると主張しています。しかし、何かの化学物質が発達障害の原因であるという科学的な証拠は今のところ見つかっていません。

発達障害の4つのタイプ

発達障害には4つのタイプがあります。

① 自閉スペクトラム症(ASD)
⇒ 社会性が低く人とのコミュニケーションが苦手

② 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
⇒ 注意、集中ができず衝動的に行動してしまう

③ 学習障害(LD)
⇒ 読み、書き、計算など一部の能力が極端に低い

④ 知的障害
⇒ 知能が全般的に低い

4つのタイプの発達障害についてそれぞれの特徴について見ていきましょう。

① 自閉スペクトラム症(ASD)

「自閉スペクトラム症(ASD)」は発達障害の1つで、以下のような特徴や症状があります。

・コミュニケーションの障害
⇒ 他者と言葉でコミュニケーションをとることが難しい

・社会性の障害
⇒ 社会ルールや常識の理解、その場の状況を理解することがが難しい

・想像力障害
⇒ 柔軟性に欠け、強いこだわりを持つ

自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の中では最も典型的なタイプです。

② 注意欠陥・多動性障害(ADHD)

「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」は注意力と衝動性に問題がある発達障害の一つです。注意欠陥・多動性障害には以下の3つの特徴や症状があります。

・不注意
⇒ 物事に集中することができない。物をよくなくす。

・衝動性
⇒ 思いついたことをよく考えずにすぐ行動に移す。

・多動性
⇒ 好きなこと以外は集中できず、興味、関心を示さない。

③ 学習障害(LD)

「学習障害(LD)」は発達障害の一つで、基本的な知的能力に問題がないにもかかわらず、特定の科目や課題に対して著しい困難を抱えている状態のことをいいます。

文部科学省では「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」の6技能のうち、いずれかの知的能力が極端に低い人を学習障害と定義しています。

また問題のある能力の種類によって、読字障害、書字障害、算数障害などのように分類されることもあります。

④ 知的障害

「知的障害」は発達障害の一種で、全般的な知的能力が低く、学習や社会適応に困難がある状態と定義されています。

知的障害の特徴は、次の3つの領域で困難があることです。

・概念的領域
⇒ 言語や判断力を身につけるのが困難。

・社会的領域
⇒ 対人関係、人とのコミュニケーションをとるのが困難。

・実践的領域
⇒ 身の回りのことや仕事など生活能力を身につけるのが困難。

知的障害の重症度は、知的能力のレベルに応じて、以下のように分類されるのが一般的です。

・境界域(IQ85〜70)
・軽度(IQ70〜50)
・中度(IQ50〜35)
・重度(IQ35〜20)
・最重度(IQ20以下)

発達障害の診断について

知能検査の結果(プロフィールの数値のばらつき)だけで、自動的に発達障害と診断されるわけではありません。前述したように、発達障害には自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、知的障害があり、さらに細かく下位の分類もあります。

知能検査の結果とその他さまざまな検査、両親からの聞き取りなどをして発達障害のタイプが決まります。

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害は、健常者と質的に異なるわけではありません。虹のように境目がなく連続している「スペクトラム構造」になっているため、どんな人でも何らかの発達の特徴(でこぼこ)があります。そのため発達障害の「グレーゾーン」の可能性のある人は、健常者の中にかなりの割合で存在すると考えられています。

大人の発達障害の場合は、過去のさまざまな傷つき体験によって、発達障害とは別の精神疾患を抱えている場合があります。大人になってから発達障害と診断された人の中には、うつ病、パニック障害、強迫性障害、パーソナリティ障害などで苦しんでいる人が多くいると言われています。

発達障害のカウンセリング

発達障害にはカウンセリングは有効です。ここでは発達障害の本人や家族に対してのカウンセリングについて説明します。

家族へのカウンセリング

発達障害のある本人が相談に来ることができない、もしくは来たがらないケースでは、その家族や配偶者が専門機関で相談を受けることがあります。その際、本人がどのような発達障害のタイプなのかを見ていき、そのタイプや特性に応じた対応の仕方、声かけの仕方について話し合います。

家族や配偶者が専門家のサポートを受けるということは、障害のある本人も間接的にサポートを受けていることになります。発達障害は生まれつきの脳の特性によるものですが、家族や配偶者が障害について学び、本人への対応の仕方を知ることで状況は大きく変わる可能性があります。

発達障害の本人へのカウンセリング

本人へのカウンセリングでは、まず日常生活でのストレス、不安や不満など、本人の中にたまっている思いについてお話を聞いていきます。そのような思いを言葉にして自分の中から出すことで、気持ちが楽になり生活がしやすくなります。

また、幼少期のエピソードや家族関係、これまでの人生でどのようなことに苦労してきたかなどを伺い、どのタイプの発達障害かを見ていきます。必要に応じて、他所で知能検査を受けることを検討します。また施設によっては精密な脳の検査を受けることができ、自身の脳の特性を詳しく知ることもできます。そういった結果をもとにして、適切な支援方法を考えていきます。

発達障害の方の多くは、対人関係(主に夫婦関係、家族関係)、職場、学校で問題を抱えています。こうした人間関係や生活面での問題にも取り組んでいきます。

またカウンセリングでは、アサーション・トレーニング(自己主張、自己表現のトレーニング)、ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)なども行います。

発達障害のカウンセリングでは、自身の脳の特性を知り、様々な生活スキルを身につけることで、精神的に安定して社会生活を送ることが大きな目標になります。