相手が良い報告をしてきたら、一緒に喜んであげよう

これまでは「悩みごと」を持ちかけられたときの接し方、聞き方のポイントについてお話ししてきました。

今回は、相手が「良い報告」をしてきたときの接し方についてです。

相手が良い報告をしてきたら、一緒に喜んであげよう

相手が「良い報告」をしてきたときに上手に聞くポイントがあります。

心理学のひとつである「アドラー心理学」では、部下や子どもの意欲を高め、前向きな行動を促すためには「勇気づけ」が必要だと考えます。

「勇気づけ」で大切なことは、「部下が仕事で結果を出した」「子どもの成績が伸びた」という場合に、その「結果」について褒めるのではなく、結果を出すために頑張った「努力」を共に喜ぶということです。

結果に結びついた「努力」に対して『うれしい』『良かったね』『がんばったね』という気持ちを相手に伝えるのです。

一緒に喜ぶと、信頼関係も高まる

たとえば、子どもが勉強を始めても、いつもなら10分もすれば放り出すのに『今日は1時間も頑張った』と親であるあなたに報告しに来たとしましょう。

そのとき『そうなんだ、がんばったね! お母さん(お父さん)もうれしいな!』と、努力したことを一緒に喜ぶのです。

人は、大切な人に喜んでもらえると前向きな気持ちになるものです。

これは親と子の関係だけではなく、会社の上司と部下の関係でも同じです。

結果を出した部下を褒めるときも、

『すごく頑張っていたからなぁ。自分もうれしいな!』

というように伝え、部下と一緒に喜んであげるとよいでしょう。

そうすると、部下はさらに前向きな気持ちで頑張るようになり、お互いの信頼関係も高まっていくでしょう。

「わたしの気持ち」を伝える

この会話の技術には、ひとつ大切なポイントがあります。

それは、子どもや部下への返答に、「お母さんも」「自分も」というように一人称の主語である「わたし」が入っている点です。

これは「アイ メッセージ(I message)」と呼ばれるもので、「わたし」を主語にして「喜び」を伝えることが大切なポイントになります。

二人称を主語にする「ユー メッセージ(You message)」では相手に対して押し付けがましくなるので、一人称の「アイ メッセージ」が好ましいのです。

このような伝え方を意識すれば、自分の気持ちが相手に素直に伝わりやすくなります。

要点のまとめ

・「結果」よりも「努力」をともに喜ぶ

・「アイ メッセージ」で「わたしの気持ち」を伝える

この2つのポイントを覚えておくとよいでしょう。

そうすることで、家族や職場での信頼関係が高まり、人間関係がより楽なものになるでしょう。