「不眠症」のカウンセリングとは?

「不眠症」の一般的な治療方法/カウンセリング方法をご紹介します。

不眠症の治療の基本は、主に次の3つです。

  • 薬物療法
  • 生活習慣、生活リズムの改善
  • 不安とストレスの解消

不眠症のカウンセリングでは、仕事や人間関係を振り返り、不眠の原因である不安やストレスを軽くすることが主な目的になります。

また、生活習慣、生活リズムを改善するための話し合いをする場合もあります。

不眠症とは?

「不眠症」は、睡眠が十分にとれず、起床時のだるさや日中の眠気によって日常生活に支障をきたす病気です。

睡眠時間の長短によって病気が定義されるわけではありません。

睡眠時間が短くても日中のだるさや眠気などの問題がなければ、不眠症には当てはまらない場合があります。

近年は不眠症など睡眠に関する悩みを持つ人が増えています。

不眠症はうつ病などの精神症状として現れることがあるため、眠れなくなる原因を慎重に検討したうえで治療にあたる必要があります。 

不眠症の種類

不眠症は、眠れない時間帯によって、入眠障害、中途覚醒、熟眠障害、早朝覚醒に分けられます。

  1. 「入眠障害」⇒ 寝つきが悪く、眠りが浅いのが特徴です。不安やストレスが原因で起こりやすいと言われている不眠症です。しかし、一度寝付くと朝まで眠れるようになります。不眠症の中で最も多いタイプです。
  2. 「中途覚醒」⇒ 睡眠中、夜中に何度も目が覚めてしまうタイプの不眠症です。何度も目が覚めてしまうため、寝た気がせず熟睡できないのが特徴です。
  3. 「熟眠障害」⇒ 十分な睡眠時間をとっていても眠りが浅いため、起床時に熟睡した感覚が得られないというものです。神経質な人や高齢者に多いタイプです。
  4. 「早朝覚醒」⇒ 早朝に目が覚めてしまい、その後、眠れなくなるタイプの不眠症です。うつ病の人や高齢者に多く見られます。

「睡眠時無呼吸症候群」の可能性も

不眠症の人は、睡眠時無呼吸症候群を合併している場合がありますので、睡眠時間を十分に取っても起床時のだるさが続くときは専門医に相談してください。

不眠症の治療とカウンセリング

不眠症は原因によって治療方法が異なります。

精神疾患、身体疾患、睡眠環境、不安やストレスなど、不眠の原因をよく見極めて治療を始めることが大切です。

不眠症の治療方法は大きく分けると以下の3つです。

  1. 薬物療法
  2. 生活習慣、生活リズムの改善
  3. 不安とストレスの解消

薬物療法

不眠症の薬には、不眠のタイプによって、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型などさまざまな種類があります。

睡眠薬は日常生活の質に直結します。薬がその人の症状や体質に合っていないと、薬の副作用として起床時のだるさや日中の眠気が出てしまうためです。

その他に依存性の問題もあります。薬の相性や副作用については十分に医師と相談してください。

生活習慣、生活リズムの改善は必須

生活習慣、生活リズムを整えることは不眠症の治療において必須です。

薬だけ飲んで生活を全く改めなければ、一時的に問題が改善されたとしても、いずれ問題がぶり返すことになります。

生活習慣を改善していく方法については、カウンセリングで取り上げるテーマにもなります。

自分だけでは生活を見直していくのが難しいようでしたら、医師か心理師に相談してみてください。

生活を改善する取り組みの例

生活習慣や生活リズムを整える方法は以下のようなものがあります。

  • 定期的に運動をする(散歩など軽い運動でOK)
  • 室温、明るさ、湿度など、寝室を睡眠に適した環境に整える
  • 体内時計をリセットするために朝日を浴びる
  • ぬるめのお風呂に長めに入る
  • お風呂上りにゆっくりストレッチをする
  • リラックスできる音楽やアロマ、お香などを利用する
  • 食生活の見直し① 満腹の状態で眠らないようにする
  • 食生活の見直し② 脂肪分の多い食事やドカ食いなど、胃腸に負担のかかる食事を控える
  • 食生活の見直し③ 就寝前のアルコールやカフェインを控える

など、さまざまな方法があります。

不安やイライラを軽減するカウンセリング

不眠症のカウンセリングでは、生活習慣について話し合い、問題点を見直していきます。

生活習慣、生活リズムの改善のための取り組みと並行して、心理的な要因(ストレス)にも目を向けていきます。

不眠症の人の多くは、慢性的にストレスや不安を抱えており、心理的な要因を解消するための取り組みが必要になります。

カウンセリングの中で、人間関係や仕事の不満などについて言語化していくことで不安やイライラが解消され、不眠症が大きく改善する場合があります。

認知行動療法によるカウンセリング

寝つきが悪い入眠障害がある人は、気になっていること、心配なことを考え続けることで眠れなくなるケースがほとんどです。

そういった場合は、認知行動療法を用いたカウンセリングで、自身の不安やこだわり、とらわれについて振り返っていくことで不眠症を改善していくことができます。

マインドフルネスを取り入れる

また「マインドフルネス(呼吸法、瞑想)」を生活に取り入れることも有効です。

呼吸法や瞑想の実践を続けていくと、不安やイライラなどの感情に気づきやすくなります。

自分の感情やストレスを自覚できるようになるにつれて不安が和らぎ、同時に体に入っていた力がゆるむことで睡眠の質が改善します。