
「うつ病」の一般的な治療方法/カウンセリング方法をご紹介します。
うつ病の治療の基本は、環境調整、休養、服薬、カウンセリング/認知行動療法です。
カウンセリングでは「認知のゆがみ(考え方のクセ)」を修正していくことがひとつの目標になります。
そして最も重要な課題は、うつ病の「再発予防」です。
うつ病について
ストレスの多い現代社会では心身のバランスが崩れやすく、誰もがうつ病になるリスクにさらされています。
ひどく気分が落ち込む、不安になる、イライラする、眠れない、食欲がないといった状態が1週間以上続くことがあれば、それは単なる気分の問題ではなく「うつ病の初期段階」である可能性があります。
なんとなく調子が悪いと感じることがあれば、以下のような症状がないか慎重にチェックしてみてください。
うつ病の代表的な症状
- 不安感とイライラ
- 焦燥感、焦り
- 集中力、注意力、思考力の低下
- 気分の落ち込み
- 自尊心や自信の低下
- 楽しみの喪失
- 将来に対する悲観的な考え
- 睡眠障害、特に不眠
- 食欲不振、もしくは過食、など
うつに気づかず、精神的に追いつめられることも
うつの症状は自分では気づきにくいといわれています。
より正確に言えば、気分と体調の悪さははっきりと自覚している(気づいている)のですが、その不調が「うつの症状」とは思っていないということです。
そのため、うつ病を発症して相当な不調を感じているにも関わらず、無理をして今までの生活を続けようとしてしまうのです。
しかし、いくら頑張ろうとしても以前と同じような行動がとれなくなるため、周りの人からは「怠けている」「仕事をしていない」「やる気がない」などと誤解されて、さらに精神的に追いつめられてしまうことがあります。
うつの兆候に気づけば、早めの受診を
一方「疲れやすい」「体が重い」「食欲が出ない」「よく眠れない」など、以前と比べて明らかに状態がおかしいと気づく人もいます。
「うつの症状かもしれない」と感じることがあれば、早めに医療機関に相談してみてください。
うつ病の治療とカウンセリング
現在のうつ病の治療は、主に次の3つで構成されています。
- 環境調整と休養
- 薬物療法
- カウンセリング/認知行動療法
まず治療の初期では十分な休養をとり、疲れた心と体を休めることが大切です。
そのためには職場や学校、家族の理解と協力を得ることが重要で、これを「環境調整」といいます。
「環境調整」は治療の成否を決める
しっかり環境調整をすることは、その後の治療の成否を左右するほど重要なことです。
もし環境調整が十分にできていないと、仕事や学校にまつわる様々なことが気になり、心配になり、そのことが頭から離れなくなります。
そうすると、休養に入って体は休めていても、頭(脳)が活発に働き続けるため、疲れが取れずいつまでも疲れた状態が続いてしまいます。
環境調整は治療の進展に大きく影響することを理解しておきましょう。
薬物療法
環境調整、休養と並行して薬物療法が行われます。
薬物療法の目的は、睡眠をしっかりとれるようになること、そして脳内の神経伝達物質のバランスを調整することです。
カウンセリングの開始時期
環境調整、休養、薬物療法を適切に行うことで、状態は徐々に快方に向かいます。
カウンセリングを開始するのに適した時期は「気分も体も少し楽になってきた」と実感する頃です。
カウンセリングというのは「精神的なエネルギー」を必要とする取り組みです。
自分の内面を振り返ったり、生活習慣を見直したりするには、ある程度の精神的な安定とエネルギーが必要となるのです。
そのため、気分や体調がある程度回復し、気持ちに余裕が持てるようになった頃にカウンセリングを開始するとうまくいきやすいでしょう。
カウンセリングで「考え方のクセ」を知る
カウンセリングでは、認知行動療法でいう「認知のゆがみ(考え方のクセ)」に気づいて変えていくことが主眼のひとつとなります。
なぜなら「認知の仕方(考え方)」がうつ病の発症に大きく関わっているためです。
自分の考え方のクセについての理解の深まりは、気分の安定につながります。
そして気分の安定は、体調の安定につながります。
カウンセリングが順調に進むと、気分と体調の回復も進みます。
カウンセリングの最終目標は「再発予防」
うつ病の治療において、カウンセリングの最大の利点は「うつ病の再発を予防する」ことです。
この「再発予防」がカウンセリングの重要な目標になります。
まとめ
<うつ病の治療の3本柱>
- 環境調整と休養
- 薬物療法
- カウンセリング/認知行動療法
これら一つひとつについて、上で述べた目的やポイントを理解して治療に臨めば、スムーズに回復軌道に乗るはずです。
とはいえ、うつ病の治療においては「焦り」は絶対に禁物です。
復職や復学など以前の環境に戻る際には、十分に余裕をもって進めてください。
そして、しばらくは「再発予防」の取り組みを意識しながら生活することが大切です。
(認知行動療法についての詳細はこちら)