06. 人生をシンプルにする

伝説のフットボールコーチのヴィンス・ロンバルディが率いたグリーンベイ・パッカーズは、攻撃的なチームとして知られていた。

多彩な才能を持つ選手が集まるチームだったが、プレースタイルはいたってシンプルだった。記者からその理由をたずねられると、ロンバルディはこう答えた。

「頭が混乱したら攻撃的になれない。だからシンプルにプレーする。物事をシンプルにするコツは「計画を立てること」だ。いらないものを取りのぞき、人に任せられることは任せる。そして、目標達成に関係する活動に集中する」

毎日を前の日よりもシンプルにして充実させる、そういった攻めの姿勢で日々の計画を立てることを習慣にしよう。

事務用品販売大手の社長ボブは、最高にシンプルな時間管理システムを実践している。

「すべてをその場でやる」

これがボブの方法だ。彼の仕事ぶりを実際に見るのは、感動的な経験だ。

ある日、私はボブとの会話中にある会社の名前を口にした。私はその会社に、研修プログラムを売りこみたいと思っていた。

「その会社の電話番号は?」

私が口を開く間もなく、ボブは椅子のキャスターを転がして電話の前に移動して、すぐに電話をかけた。

そして2分もしないうちに、担当者と私が会う手はずを整えてくれた。

「よし、これで終わり!次はなんだ?」

そこで私は、彼に依頼されたレポートを仕上げたことを話した。彼の会社に提供するトレーニングに関するレポートだ。

私はそれを彼に手渡すと、こう言った。「あとで読んで、感想を聞かせてほしい」

「いや、ちょっと待ってくれ」ボブはそう言うと、レポートを読み始めた。完全に集中し、特に興味をひかれる部分になると音読した。彼は10分でレポートをすべて理解し、必要な話し合いも終わらせた。

この時間管理法に、どんな名前をつければいいだろう。「すべてその場で片づける方式」だろうか。

とにかく、この時間管理法のおかげで、ボブの人生はシンプルだ。そして、ボブは経営者として、いつでも攻めの姿勢を維持している。

ミケランジェロは、石切り場で大きな大理石の塊を見つけたときに、その中にダビデの姿が見えたと言っている。彼の仕事は、岩から不必要な部分を取りのぞき、中のダビデを外に出すことだけだった。

人生もこれと同じだ。

忙しく、あわただしい毎日から、不必要な部分を取りのぞいてやれば、本質的で大切なものだけで構成されたシンプルな人生が手に入る。

人生をシンプルにすれば、人生に方向性が生まれる。

人生の方向性が定まれば、あなたは確実に変わることができる。