うつ病の人への接し方のポイント

何気ない言葉が負担になることがある
うつ病の人には『がんばって』などの励ましの言葉が負担に感じることがあります。家族としては良かれと思ってかける言葉も、本人には通じなかったり負担になることがあるのです。
『散歩でもしてみれば?』という何気ない言葉でも、本人にとっては重く感じてしまうことがあります。気晴らしや気分転換をすすめられると、やる気になれない自分を責めたり『そんな簡単なこともできない』と考えて気分が落ち込んでしまうのです。
同時に、家族に『申し訳ない』『心配をかけたくない』との思いもあるので、家族のすすめに無理に合わせて頑張ってしまい、あとでぐったり疲れてしまうこともあります。
また、ささいなことでも同じことを2回言われると、何度もしつこく「責められている」ように感じる場合もあります。そして『何かやらなければ…』とあせる気持ちが強くなってしまうのです。
【 参照:うつ病の人への「禁句」とは?】
本人の様子を見ながら話しかける
一緒にいる家族は心配し、なんとか元気づけたいと思っていますが、励ます代わりにどのように声をかけたらいいのかわかりません。
本人は家族や周りの人にどうしてほしいと思っているでしょうか。うつ病の人の心の声は、主に次のようなものです。
『無理に話しかけないでほしい…』
『心配しすぎないでほしい…』
『近くにいてくれるだけでいい…』
『でも時々は話しかけてほしい…』
家族は様子をよく見ながら、本人の話したいタイミングと気分に合わせて話をすることが大切です(普段はそっとしておいてほしいと思っていることが多い)。本人がつらそうにしているときは、話をするよりも話を聴く姿勢で接するとよいでしょう。
また将来を悲観的に考え、退職や離婚などの話を切り出すことがあります。家族は本人の気持ちに理解を示しつつ、重大な決断は一旦保留にし、『状態がもう少し落ち着いたら、そのときにもう一度考えましょう』と優しく伝えます。
大切なことは「特別あつかいしない」こと
急性期の著しく調子の悪いときは横になっているだけで何もできませんが、急性期を抜けて少し動けるようになれば、自分でできそうなことは本人に任せるとよいでしょう。全面的にサポートする気持ちを伝え、『難しいことがあったら言ってね』と軽く伝えておくとよいでしょう。特別あつかいをせず、いつもどおり自然に接すると、本人は楽に過ごしやすくなります。
接し方のポイントのまとめ
- 励ましすぎない
- 気晴らしをすすめすぎない(状態が良いときは、気晴らしをすすめることがプラスになることもあります)
- 本人の言うことをよく聞き、否定せずに受け止める(ネガティブな発言はうつ病の「症状」と理解する)
- 退職や離婚など重大な決断はせず、一旦保留にする
- 治療を全面的にサポートすることを伝えておく
- 生活のなかで、本人にできないことは援助し、できることは本人に任せる
- 特別扱いせず、いつもどおりに接する