84. 人生のネガティブな要素をすべて書きだす

ある夜、目標達成についてのワークショップをしていて、まったくの偶然からある大きな発見をした。

ネガティブ思考の力を発見したのだ。

そのとき、受講者たちは、目標を紙に書くのに苦労していて、私はイライラしていた。

そして思わず、こんなことを言ってしまった。

「自分の欲しいものがわからないのに、手に入れることができるでしょうか?」

そのとき、クラスの半分は目標が1つも思いつかず、ただぽかんとした表情をしていた。

「わかりました」と私は言った。

「それでは、目標のことはいったん忘れましょう。新しい紙を出して、次のことを行ってください。「自分の人生でなくなってほしいもの」を書くのです。今抱えている問題や不満、心配事を、すべて書きだしてください。とにかく思いつくかぎりのネガティブな要素を、すべて紙に書いてください」

次の瞬間、驚くべきことが起こった。

教室内のエネルギーのレベルが上昇し、すべての受講生が精力的に書いて書いて書きつづけたのだ。

紙がもう1枚欲しいという人が現れるまでに、それほど時間はかからなかった。

教室内は不思議な活気に包まれた。紙は見る見るうちに文字で埋まり、書きすぎて手が痛くなった受講生たちが手をふっていた。

私が「ここで終わりにしてください」と言ったときも、まだ興奮は収まらなかった。

このエクササイズは、それまで存在しなかった何かを解き放ったようだ。

この瞬間、私は生まれて初めて、ネガティブ思考の真の力をこの目で見たのだ。

考えてみれば、ネガティブ思考の力に触れたことはあった。

自分をふり返ってみても、「ノー」と言って断るときのほうが、「イエス」と言うときよりも大きな力を感じる。

「ノー」という言葉は、はっきりと境界線を引く言葉だ。断固とした意思表示だ。情熱的であり、力強い。

それと比べれば、「イエス」は弱々しくて優柔不断だ。

私はかつて、何千杯ものアルコールに「イエス」と言ってきた。

二日酔いで目覚めたある朝、死にたい気分になった私は、ついにアルコールに対して「ノー」と言った。

その瞬間、私の人生が転機を迎えたのである。

「ノー」という言葉には大きな力がある。なぜなら、魂の奥深くから生まれた声だからだ。

人には誰でも譲れない一線がある。自分の中に「ノー」が持つ大きな力が眠っていることがわかると、その力で、かつてないほどモチベーションを高めることができる。

破産するのが怖い?それなら、お金を稼ぐ計画を立てよう!

親友2人分の体重はイヤだ?それなら、運動と健康的な食事の計画を立てよう!

どんな「ノー」も、力強い「イエス」に変えることができる。

人生で欲しくないものを書くことで、問題を目標に変えることもできるのだ。

やる気になる夢や目標が思い浮かばないなら、ネガティブな側面から考えてみよう。

「自分が絶対に欲しくないものはなんだろう?」

「自分の人生に絶対に起こってほしくないことはなんだろう?」

そして、今度はそれと正反対のことを考える。否定を肯定に変えてみよう。

あなたはきっと、今までの人生で最大のモチベーションがわき上がるのを感じるはずだ。

成功した人たちの中には、いわゆる苦労人がとてもたくさんいる。

中には極限の貧困を経験した人も少なくない。

彼らが成功できたのは、人生の早い段階で大きなネガティブを経験したからだ。

彼らは幼いころから、「欲しくないもの」がはっきりしていた。

欲しくないものがわかっていれば、あとはその反対の方向に進んでいけばいいだけだ。

あなたも欲しいものが思い浮かばないときは、逆転の発想をしてみよう。

絶対に欲しくないものを想像すれば、それとは反対のことを実現させるために大きなエネルギーがわき上がってくる。

そのときに感じるエネルギーが、あなたのもっとも奥深くにある、もっとも根源的な形のモチベーションだ。