71.「ノー」を答えと思わない。質問だと考えてみる

私はセールスパーソンを対象にしたセミナーをよく開く。

いちばん要望が多いテーマは「セールスで断られたときの対処の仕方」だ。

セールスパーソンにとって「ノー」と言われるのは最大の問題だ。人類一般にとってもこれは最大の問題かもしれない。

多くの人は、「ノー」と言われたら、それは最終回答だと考える。「完全に拒絶された」と受け取り、落ちこんでしまう。

実際は「ノー」にはたくさんの意味がある。しかし、「ノー」が最終回答だと考えた時点でチャンスはなくなってしまう。

そこで、私の初めての就職活動の話をしたいと思う。

大学英文科を卒業したばかりの私を雇いたいと言ってくれる会社はいくつかあった。

しかし私には、どれもあまり気に入らなかった。

そこで私は、地元紙「ツーソン・シティズン」で、スポーツ記者になろうと決めた。スポーツ記事など高校以来まったく書いていなかったのだが。

面接に行き「スポーツ記者としての経験がまったくないことがいちばんのネック」だと言われ、採用を断られた。雇えないというのなら、そういうことなのだろう。

しかし私は納得がいかなかった。

そこで私は、「ノー」の意味を自分で決めることにした。

今回の「ノー」という答えは、「もっと創造的になれないか?」という質問だと考えたのだ。

私は家に帰ると、さっそく作戦を立てた。

私が採用されなかったのは、経験がないからだ。

経験がなぜ重要なのかとたずねたら、面接官は笑顔で答えていた。

「スポーツ記者としての実力がわからないからだよ。英文学の学位を持っていたって、いい記事が書ける証明にはならないからね」

そこで私はひらめいた。

本当の問題は、私の経験不足ではない。むしろ問題は、彼らの知識不足だ。彼らは、記者としての私の能力を知らない。

だから私は、彼らの問題を解決してやればいい。

スポーツ記者の採用の決定は1ヵ月以内に出ることになっていた。そこで私は毎日、スポーツ部のデスク、レギス・マコーリーに手紙を書くことにした。

マコーリーは受賞歴もある一流の記者だ。私は長く、凝った表現を使った手紙を書いた。

能力の許すかぎり、独創的で気の利いた文章を書こうと努力した。

その日のスポーツについてコメントし、自分が「ツーソンシティズン」のスポーツ記者にうってつけであることを訴えた。

1ヵ月後、マコーリー本人から電話があった。私は最終候補者2人のうちの1人に選ばれたという。

そのときは興奮のあまり、受話器を飲みこんでしまいそうだった。

私は2番目に面接された。面接の終わりに、マコーリーは最後の質問をした。「スティーヴ、1つ確認したいことがある。もしきみを採用したら、もうあの長ったらしい手紙を送るのをやめてくれるかな?」

私が「やめます」と答えると、彼は笑い、そして言った。

「それなら採用だ。月曜から働いてもらおう」

あとでマコーリーに話を聞いたところ、決め手はやはり手紙だったそうだ。

「第一に、手紙を読んで、きみに文章力があることがわかった」と彼は言った。

「そして第二に、他のどの候補者よりも熱意があるということが伝わったからね」

仕事で何かを望み、それが拒否されることがあったら、「ノー」は答えではなく質問だと考えてみよう。

「もっと創造的になれないか?」と問われているのだ。

「ノー」を額面通りに受け取ってはいけない。

拒絶の言葉を発奮材料に、もっと創造的になれる方法を考えよう。