69. 他人を変えようとしない。自分が見本になる

私たちはついつい、自分の周りの人を変えることを考える。

特に親になるとそうだ。

多くの親は子どもにむかって「こう変わりなさい」ということばかり言い聞かせている。

しかし、最近は子どももたくましい。

親にお説教されると、口では素直に「わかった」と言うが、本心は「ママやパパの言うことなんて聞かないよ」と思っている。

子どもは親の言葉からは学ばない。親の行動から学ぶのである。

ガンジーほど他人の人生に影響を与えた人は少ないが、彼は「他人を変えようとするのは無駄だ」と考えていた。

人々はガンジーのところにやってきて、他人を変える方法を教えてくださいと言った。

「私はあなたの非暴力主義に賛成です。しかし世の中には反対の人もいる。どうすれば彼らの意見を変えることができるでしょう」

するとガンジーは、他人を変えることはできないと答え、こう言った。

「他人の中に見たい変化を、まず自分が行いなさい。」

私は自分のセミナーで、他のどの言葉より、この言葉をたくさん引用したと思う。私もよく、他人を変えるにはどうしたらいいかという質問を受けるからだ。

「夫を変えるにはどうすればいいですか」
「妻を変えるにはどうすればいいですか」
「思春期の子どもを変えるにはどうすればいいですか」というような質問だ。

セミナーを受講する人は、私が教える原則やアイデアに納得すると、たいていの場合、変えたい人のことを考え始める。

そして、質問の時間になると、「理解できないかわいそうな人」のことを質問し始める。

「彼らを変えるにはどうすればいいですか」というわけだ。

そこで私は、いつもガンジーの言葉を引用することになる。

なってほしい人物に、まず自分がなる。

そうすることであなたは、彼らに刺激を与えることができる。

お説教されてうれしい人、やる気が出る人はいない。

しかし誰でも、すばらしい見本からは、刺激を受けたいと思うからだ。

娘が4年生のときに、学校の合唱コンサートを聴きにいったことがある。

娘たちは、「地上に平和を」という歌を歌った。

その歌にはこんな歌詞がある。

「地上に平和を。その平和を私から始めよう……」

その歌詞を聴いたとき、私は思わず笑顔になった。「自分が変化する」という原則を、とても美しい言葉で表現している。

口で言うことは相手に届かない。相手が本当に見ているのは、あなたの人としてのあり方なのだ。