67.「できる」と信じてありありとイメージする

私はデニス・ディートンと一緒に仕事をする機会に恵まれたことがある。

彼は「ビジョニアリング」というテクニックを提唱している。「メンタルイメージを活用することで、夢を現実にする工学」という意味だ。

当時の私は、毎週木曜の夜に講座を受け持っていた。

まだ10歳の子どもだった娘のマージョリーは、いつも私についてきて、受講者と一緒にテキストを開いて講座に参加していた。

その講座では、私はビジョニアリングも教えていた。

当時、マージョリーは10歳だったから、どれだけ講座の内容を理解できるのか、私にはよくわからなかった。

ある土曜日のことだ。私は自宅マンションの共有プールのデッキチェアに座ってくつろいでいた。

娘のマージョリーは、友だちのミッシェルとプールの脇で遊んでいた。

その日、プールには人がたくさんいたが、人混みの中でも、マージョリーとミッシェルの声はよく聞こえてきた。

2人は深いほうのプールの脇で、何やら熱い議論をしていた。

「できないよ!」とミッシェル。

「ううん、できる」とマージョリー。「自分はできるって信じればいいんだよ」

「飛びこむなんて怖くてできない」とミッシェル。「一度もやったことがないんだもの」

「ミッシェル」とマージョリーは言った。「それなら、私のやり方でやってみない?」

「どうしよう」とミッシェル。

「わかった。あなたのやり方ってどうやるの?」

「まず目を閉じるの」とマージョリー。「そして、飛びこみ台に立った自分の姿をイメージする。そこに立っている自分が見える?」

「うん、見える」とミッシェル。

「よかった!」とマージョリー。

「次は、もっとこまかく想像するの。あなたはどんな水着を着ている?水着がはっきり見える?」

「赤と白と青の水着だよ」とミッシェル。「アメリカ国旗に似てるの」

「それでいいの」とマージョリー。「じゃあ今度は、自分が飛びこむ場面を、スローモーションでイメージするの。夢の中みたいに見える?」

「うん、見える」とミッシェル。

「よかった!」と、マージョリーは大きな声で言った。「さあ、これでもうできるよ。夢に見ることができるなら、実際にもできるんだから!」

私は本を読むふりをしながら、そっと2人の様子を見守っていた。

周りの人たちも、間いていないふりをしながら、次の展開を固唾を呑んで見守っていた。

ミッシェルはプールのはじに来ると、水の中をこわごわとのぞきこんだ。

ミッシェルはマージョリーのほうを見た。

マージョリーは言った。

「ミッシェル。小さな声で、ずっとこう唱えていて。「夢に見ることができるなら、実際にもできる」って。それから飛びこむの」

ミッシェルは唱えつづけた。「夢に見ることができるなら、実際にもできる」······。

そして突然、ミッシェルは飛びこんだ。

あれは完璧な飛びこみだった。

きれいに水に入り、水しぶきはほとんど上がらなかった。

ミッシェルは自分でもびっくりしたようだ。

ミッシェルが水から顔を出すと、マージョリーは飛び上がって手を叩き、「やったね!」と叫んだ。

ミッシェルは笑顔を浮かべて水から上がり、もう1回飛びこみ台にむかっていった。

私はつぶやいた。

「ビジョニアリングのテクニックは、こんなにシンプルなことなんだ」

意識的に、理想の自分をイメージすることができるようになれば、その理想の自分は実現することができる。

ありありと夢見ることは、理想の自分をつくることにつながるのだ。