65. 今日1日で自分を5パーセント変える

心理療法士のナサニエル・ブランデン博士は、「文章完成エクササイズ」で効果をあげている。文章の断片を渡し、つづきを患者に考えてもらうという手法である。

患者は、直感的に答えなければならない。そうすることで、患者は自分の中に眠る力と創造性に気づくことができる。

よく使われる文章の断片は、たとえばこんな感じだ。

「あと5パーセント、私の人生に幸せを持ちこむには……」

患者であるあなたは、直感で文章のつづきを考える。

つづきの文章が思いついたとき、あなたは自分の中に眠る力に気づき、もっと幸せになれると理解できる。

すばらしいのは、5パーセントという数字だ。

5パーセントというのは、とても小さな変化に見える。しかし、その効果を考えてみよう。もし、毎日5パーセントずつ変われば20日後には100パーセント変わる、つまり生まれ変わるということだ。

小説家のアン・ラモットは、何かに迷ったときは、いつも子どものころのある小さな出来事を思いだすようにしていると言う。

「今から30年前、当時10歳だった兄が、鳥についてのレポートを完成させようとしていた。期限は明日。兄は今にも泣きそうになっていた。テーブルの上には、紙、鉛筆、それに一度も開いていない鳥の本が散乱していた。兄はやらなければならないことの多さに呆然として、身体が動かなくなっていた。そのとき、父が兄の隣に座り、兄の肩に手を回すとこう言った」

「1羽ずつ書いていけばいいんだよ。そうすればいつかは終わるから。」

人生が停滞するのは、変化を起こせないからではない。

小さな変化につながる、小さな取り組みをまったくしないからだ。

人生を1枚の絵画と考えるなら、一瞬で人生を変えることを願うのは、たった10分で傑作を完成させてギャラリーに出そうとするのと同じことだ。

自分は未完の傑作だと思うなら、小さな変化を大切にしなければならない。

身体を鍛えたいなら、エレベーターを階段にかえることから始める。健康になりたいなら、ランチにサラダや果物を取り入れて、少しずつ食習慣を改善する。

それだけで立派な変化だ。理想にむかって着実に歩んでいる。

自分を変えたいなら、いちばん小さい変化から始めよう。偉大な芸術作品を創造するように。

すべてはほんの小さな筆の動きから始まるのだ。