61. 競争の機会を成長の機会にする

「競争」という言葉が、悪い意味を持つようになってきている。昔ほど、英雄を賛美したり、個人の実績を賞賛したりすることもなくなった。

その最大の理由は、「他人を落として成功することは罪である」と認識されるようになったことだろう。

たしかに、他人を犠牲にした成功には、それほどの価値はない。

子どもの学校の先生と話していても、競争が嫌われているのがよくわかる。学校では子どもたちがお互いに成績を比べないように工夫しているという。学校は、教育から競争とストレスを取りのぞこうとしているのだ。

しかし、人生の目標を「自分がなれる最高の自分になること」にするのなら、競争は最高の方法だ。

自分がどんなに努力し向上しても、自分より上の人は必ずいる。競争はその事実を教えてくれる。

自分より上がいると知ることで、人は謙虚になれるのだ。

成績を比べないという方法では、謙虚さを教えることはできない。

さらに、競争からは「他人に勝つためにはまず自分に勝たなければならない」ということも学ぶことができる。

それに加えて、競争すれば、自分の実力や成長を客観的に計測することができ、人生にゲームの要素を取り入れることもできる。

詩人のウィリアム・バトラー・イェーツは「幸せの定義はたった1つしかない」と言った。

「幸せとは成長することだ。人は成長するときに幸せを感じる。」

ライバルは、あなたを成長させてくれる。腕を磨きたいなら、自分より強い人と対戦するのがいちばんだ。

映画「ボビー・フィッシャーを探して」(1994年)に登場するチェスの天才少年は、最初のうちは競争を拒否し、そのせいで壁にぶつかってしまう。

しかし競争の価値に気づき、やがて自分を成長させるために競争を活用するようになる。

勝ち負けに必要以上にこだわるのをやめれば、チェスの試合はとても楽しくなる。競争の楽しさに目覚めた少年は、チェスの腕がどんどん上達し、人間的にも成長した。

そして、子どもも大人も、負けることで成長できる。

負けることから、負けてもすべて終わりではないし、負けたから無価値だというわけでもないということを学べる。

負けとは、勝利の裏側にすぎない。負けるかもしれないという理由で競争を怖がる気持ちを認めていては、自尊心をさらに低くしてしまう。

競争のチャンスを逃さないようにしょう。

そして、いつでも楽しい競争を心がけるように。

誰かに勝つことよりも、自分に勝つことのほうがずっと大切だ。