59. 途方もない約束をする

これは効果的だが、そのぶん怖さも人一倍の方法だ。

大切な人や、尊敬する人と、何か大きな約束をしよう。最大限の努力をしても、それでもかなえられるかわからない、そんな約束をしてしまうのだ。

ジョン・F・ケネディ元大統領は、アメリカ国民とそんな約束をした。

「10年以内に、人類を月に送る」と約束したのだ。

アポロ13号の船長を務めたジム・ラヴェルは、「アポロ13」という本の中で、ケネディ大統領の約束を「常軌を逸している」と表現した。

しかし、この本を読めば、常軌を逸した約束がいかに大きな効力を持つかということがよくわかる。

ケネディの約束は、NASAスタッフ全員に大きなエネルギーを与えた。そして最終的に、この途方もない目標を達成することができたのである。

催眠術師のマーシャル・シルヴァーは、こんなおもしろい約束を紹介している。

ラスベガスのカジノのオーナーが、屋外の大きな広告看板を使って禁煙の誓いを立てた。

その看板には、「今から90日の間に私が喫煙している姿を見た人には10万ドルを払う!」と書いてあった。あなたは、この約束が持つパワーを理解できるだろうか?

私は以前、子どもたちに、ミシガン州のキャンプに連れて行くと約束したことがある。砂漠気候のアリゾナ州に住んでいると、ミシガンのや緑深い森には魔法のような魅力を感じるものだ。

相当な費用のかかるアメリカ横断の旅だが、仕事は順調だったから、子どもたち全員を連れて行けると確信していた。

しかし夏が近づくころ、私の経済状態は一転して厳しくなってしまった。

そのため、キャンプに行くのは難しい状況になった。

当時息子のボビーは8歳だった。私は、今はお金が厳しく、キャンプに行くのは難しいとボビーに話した。

ボビーはそのとき、やっと聞こえるぐらいのとても小さな声で、「でも約束したじゃない」と言った。

あのときの息子の表情を、私は一生忘れられない。

息子は正しい。私はたしかに約束した。「努力する」でも、「それを目標にがんばろう」でもなく「連れて行く」と断言したのだ。

私は、大きな感情の波に襲われ、こう約束した。

「そうだ、パパは約束した。きみの言葉で約束したことを思いだした。キャンプには絶対に連れて行く。そのために必要なことはなんでもする。ごめんね。パパは約束したことを忘れてしまっていた。謝るよ」

私は、まず仕事を変えた。

新しい仕事を引き受ける条件は、子どもたちをキャンプに行かせるのに必要なだけの契約ボーナスがもらえることだった。

そして私は、約束を果たすことができた。