55. たくさん運動をして脳に酸素を送りこむ

チェスの世界選手権で、チャンピオンのボリス・スパスキーとの対戦を控えたポピー・フィッシャーは、対戦のために毎日水泳をしたという。

その理由は、試合が長丁場になれば、脳により多くの酸素を送りこめるほうが優位に立てるからだ。だからフィッシャーは、心肺機能を鍛えることで大一番に備えた。

フィッシャーが勝利すると、多くの人はフィッシャーの精神力に驚いた。

時間の試合で、疲労の極みに達するような場面でも、フィッシャーはウィットを失わず、鋭い頭の回転も健在だった。

カギとなったのは彼の呼吸だった。

「活発な脳は、不活発な身体に宿ることはできない。」

この原則が、ボビー・フィッシャーがチェスの世界チャンピオンとなった秘密兵器だ。

しかし、泳ぐことがチェスの訓練になるなんて、いったい誰が思いつくだろうか。

映画「パットン大戦車軍団』(1970年)でも知られるジョージ・パットン将軍は、自分の部隊に「脳の力」について講義していたという。彼もまた、呼吸と脳の働きの関係を重視していた。

戦時においては、最大限脳の力を働かせる必要がある。脳は活発に働けば働くほどいい。そのためには酸素が必要だ。どんな愚か者でも、肺の大きさを2倍にすることなら可能だ。

この逸話を私に教えてくれたのは、パットン将軍から信頼された法律顧問ポーター・ウィリアムソンという人物だ。ウィリアムソンは、パットン将軍との思い出話をたくさん聞かせてくれた。

「パットン将軍は私のデスクにやってくると、よくこう言った」

「いつまで座っているんだ。椅子に20分以上座っていると、脳の働きが止まってしまう。身体を動かしつづけるんだ。身体を動かすのは脳のためだ。身体を動かさないで、脳だけ活発に働くことはない。」

たくさん呼吸をすれば、脳は活発に動き、モチベーションも高めることができる。効果的なのは、ジョギングやウォーキングといった有酸素運動だ。

またはただ深呼吸するだけでもいい。脳に酸素という燃料が行き渡り、脳がリフレッシュして創造的な活動が活発になる。