47. 自分にできる小さな1歩を探しつづける

ネガティブに考えるタイプの人が、週末の朝、ガレージを掃除すると決めたとしよう。

そして土曜の朝になる。彼は起きてガレージにむかい、扉を開ける。

改めてガレージを見渡すと、あまりにも散らかっている。簡単に片づけられないことは見ればわかる。

「もうやめだ!」「こんなガレージを1日で片づけられるわけがない!」

彼はガレージの扉を乱暴に閉め、家に戻って、他のことを始めてしまう。

このように、ネガティブな考えはすぐに「ゼロか100か」の結論に結びついてしまう。悲観主義者には①完璧にやるか、②まったくやらないか、選択肢は2つしかない。

ポジティブに考える人物が同じ状況でどう行動するかを見てみよう。

彼もまた、同じ土曜の朝に目を覚まし、同じガレージにむかい、同じように乱雑な状態を見る。

「もうやめだ!」「こんなガレージを1日で片づけられるわけがない!」ここまでは同じだ。

しかし、決定的な違いはここから現れる。

「たしかに全部片づけるのはムリだ」彼は考えつづける。

「でも、少しましな状態にはできるだろう。そのためには何をすればいいだろうか?」

そうすると、たとえばこんなアイデアを思いつく。

「ガレージを4つに区切って、今日は1つだけ片づけよう。毎週土曜日に1セクションやれば、1ヵ月で全部片づくんだ」

1ヵ月後、楽観主義者のガレージはきれいに片づいている。楽観主義者は、完璧さを求めないから、少しだけ先に進むことができる。

ラスベガスでセミナーを開いたとき、ある女性が、意図的にポジティブに考えるようになってから人生が変わったと話してくれた。

「昔の私は、仕事から帰って散らかったキッチンを見ると、ただ「もうお手上げ」としか思いませんでした。でもある日、とにかく一部だけでも片づけようと考えを変えました。片づけるのはその部分だけ。ある日はカウンター、ある日はシンク、とにかく毎晩少しだ片づけました。これならうんざりすることもありません。おかげで私のキッチンは、いつもそれなりに片づいています」

ネガティブに考えると、すぐに「できることは何もない」と結論が出てしまう。そして、そこで考えるのをやめてしまう。

しかし結局、問題から目をそらしているだけなのだ。完璧にするのは大変だから、その大変さから逃げるために、結局何もしない。

一方でポジティブに考えると「自分にできる小さな1歩」が見つかる。そうやって何か行動すれば、いつも進歩を実感できる。

歴史をひもとくと、ポジティブな思考力を物語る出来事がいくつも見つかる。

映画「アポロ13」(1995年)はご覧になったことがあるだろうか。

宇宙飛行士たちを月の向こう側から地球に帰還させるのは、本当に難しい仕事だった。

危機的な状況で「アポロ13号は「アメリカ史上最悪の宇宙事故」になってしまう」と言った人物がいた。

それに対して、ある地上管制官はこう言った。

「お言葉ですが、私はアメリカ宇宙開発史上で最高の瞬間になると思います」

そして彼らは、絶望的な技術的問題が起きても、決して考えるのをやめなかった。

宇宙飛行士たちの命を救うために、何かできることはないかと考えつづけた。

部分的な解決策を探し、それを1つずつ地道につなげていくことで、ついに宇宙飛行士たちを無事に帰還させた。

ポジティブな考え方には文字通り生死を分ける力があるのだ。

悲観主義者は、最悪のシナリオを思い描くことで自分の想像力を使いきってしまう。

そして想像したシナリオだけを現実のように思いこみ、まったく行動を起こさない。だから悲観主義者は、いつも受身的で、自分から行動できないのである。

ネガティブな気分になったり、「もうムリだ」とあきらめたくなったりしたら、まず「とにかく考えつづける」ということを思いだすようにしよう。

問題について考えるほど、行動を起こす小さなチャンスがたくさん見えてくる。

そして、小さな行動を起こすほど、エネルギーがたくさんわいてくる。