45. 小さな「過程の目標」をたくさんつくる

ビジネスパーソンなら、具体的な長期の目標の大切さはわかっているものだ。

キャリアの目標、1年の目標、1ヵ月の業績目標を、いつも念頭に置いている野心的ビジネスパーソンは少なくない。

しかしそんな彼らでも、「小さな目標」が持つ力に気づいている人は少ない。

心理学の古典的名著「フロー体験』で、著者ミハイ・チクセントミハイは、大きな目標を「結果の目標」と呼び、小さな目標を「過程の目標」と呼んでいる。

「過程の目標」のいいところは、自分がその気になればすぐに達成できることだ。

たとえば「昼休みまでに重要な電話を4本かける」という目標を決める。紙に4つの電話番号を書き、電話がすんだらチェックする。

全部かけ終わったら、自分の目標フォルダに紙をしまい、ランチを心おきなく楽しむ。目標を達成したのだから、ランチを楽しむのは当然の権利だ。

誰かとの会話でも「過程の目標」を決めることができる。

あなたが知りたい3つの情報、4つの質問、相手に頼みたい2つのこと、会話の相手が顧客なら、会話の最後で顧客をほめる言葉などを事前に決めておくのだ。

過程の目標があると、目の前の作業に完全に集中でき、自分の1日を自分でコントロールできるようになる。

そして、目標がなかったときに、いかに周りの人や出来事により回されていたかということを実感する。

過程の目標をクリアしていくと、セルフモチベーションの高い有能な人間になった気分が味わえる。

1日の終わり、または翌日の朝いちばんに、「結果の目標」の進捗状況をチェックする。望みの結果に近づくために、「過程の目標」に調整を加え、「結果の目標」とつねに調和しているようにするのだ。

ここで、1日の仕事の終わりの時間を想像してみよう。終業時間まであと30分だ。

「過程の目標」を決める習慣がなければ、「書類でも片づけるか」というようなことになる。

そんなとき、誰かがあなたのところにやってきて雑談を始める。あなたも特にやることが決まっているわけではないので、雑談に応じる。

するといつの間にか30分たってしまい、帰りの時間になる。

仕事は片づいているかもしれないが、それでも無駄な時間を過ごしてしまったという気分をどうしても拭い去ることができない。

しかし、その30分で「過程の目標」を決めたらどうなるだろう。

「帰宅時間までに、商品紹介の手紙を2通書き、資料もすべて揃えて発送しよう」

これでこの30分の目標ができた。

誰かがおしゃべりに来ても、やることがあるから話はあとで、と言うこともできる。

1日を通して小さな目標を設定する習慣がある人は、意識レベルもエネルギーのレベルも高くなるという調査結果がある。小さな「過程の目標」をつくるというのは、アスリートが、試合の間ずっと自分で自分のコーチをするようなものだからだ。

小さな目標を決める人は、そうでない人よりも幸せになれる。それは、周りにふり回されず、自分の1日を自分でコントロールしているという感覚が深まるからだ。