44. 心が震える言葉を脳に刻む

本を読んでいると、すばらしい言葉が見つかることがある。役に立ちそうな言葉や、心が震えるような言葉だ。

そうした言葉に線を引く習慣がある人もいるだろう。その本を本棚にしまったり、友だちに貸したりして、そのまま本の存在をすっかり忘れてしまったら、せっかくの発見もお蔵入りだが、これには、うまい解決策がある。

やる気が出る言葉は、好きな歌と同じように扱うといいのだ。

私のある友人は、ミュージカルへの出演を目指して、歌詞を書いたカードをオフィスや自宅、洗面所の鏡などいたるところに貼っていた。視覚に訴えることで、無意識に歌詞を定着させようとしたのだ。

また、好きな歌は何度も聴いているうちに、歌詞やメロディーが頭から離れなくなる。本で見つけたすばらしい言葉も同じように無意識に定着させるといい。

新しい言葉を脳に刻みつけるというのは、自分の思考回路をつくり変えることだ。つまり、新しい自分になることができるのだ。

本や雑誌を読んで、そこから自分を変えてくれる言葉を探すのは、虫取り網で蝶を捕まえるように楽しい作業だ。捕まえたら、自分の意識のフィールドにその蝶を放し、自由に飛ばせる。

新しい言葉を手に入れるたびに世界は明るくなり、より理解できるようになる。「そうだったのか!」と思わず背筋がぞくぞくするような瞬間をもたらしてくれる。

こうした最高の体験をもたらしてくれる言葉を自分の中に蓄積すればするほど、人生は楽しいと感じられるようになる。

コリン・ウィルソンは、「至高体験」で次のように書いている。

「「理解できない」と感じていた作曲家や画家の作品が、ある日いきなり理解できるようになる。以前は解けなかった問題がある日、いきなり解けるようになる。そうやって一度「見えて」しまえば、その対象と再びつながるのは簡単になる。それは、まるであなたの所有物のように存在し、あなたの帰りを待つようになる。」

以前、あるセミナーを受けたときのことだ。私は休憩時間を使って、セミナーで学んだことのうち、ぜひ覚えておきたいと思うものをすべて手紙に書き、折りたたんで封筒に入れた。

それを家に持ち帰り、1ヵ月後にポストに投函した。宛て先は自分である。

手紙が届くと、私はさっそく封を切って読んだ。あれはまるで、もう一度セミナーを受けているような気分だった。自分に手紙を書くという方法は効果抜群だった。

そこで今度は、自分のセミナーでもこの方法を使ってみることにした。

参加者の全員に、その日にいた内容のうち、自分が大切だと思ったこと、変えたいと誓ったことを、自分への手紙に書いてもらう。書き終わったら、私が配った封筒に入れて封をし、封筒には自分の住所を書く。私はそれを回収し、1ヵ月後に投函すると伝えた。

結果は、驚くほどの大反響だった。

自分の手書きの文字でセミナーの内容を読むと、もう一度セミナーを受けているような気分になったという声を寄せてくれる人もいた。またあのときの興奮がよみがえり、行動を起こすという決意を新たにしたのである。

自分が知っている最高の考えを、定期的に自分に教えよう。自分で見つけたすばらしい言葉を文字にして、自分に思い起こさせる方法がたくさんあればあるほど、「最高の自分」への旅を力強く歩んでいくことができる。