31. 質問の準備に時間をかける

誰かと会うときは、相手への質問を準備しよう。

質問を準備するのは、相手への好奇心を高めることでもある。せっかくの会話の時間に相手から聞きたいことが1つもないという状態は避けなければならない。

たいていの人は、これとは逆のことをする。質問ではなく、自分の答えの準備に精力を費やしてしまうのだ。念入りに、自分が言うことばかり考えてしまう。

しかし本当のところは、相手だって自分自身の話がしたいと思っている。

自分でビジネスをしている人ならわかるだろうが、長期的な契約を結ぶとき、顧客が取引先に求めるのは、自分に本当に興味を持ち、親身になってくれることだ。自分のことをもっとも理解しようとする人が、もっともよい取引先だと考えるのだ。

相手に本当に興味を持っていることを示すには、よく考えられた質問をするのがいちばんだ。実際、顧客にとって本当に頼りになる取引先でいるためには、ライバルの誰よりも顧客について勉強しなければならない。

そのための勉強法は、独創的で質の高い質問をすることだ。ただ単に質問をすればいいというわけではない。その場の思いつきのような質問では役に立たないのだ。

質問の準備は、自分のプレゼンの準備よりもずっと大切だ。インディアナ大学バスケットボール部元監督のボビー・ナイトはいつもこう言っていた。

「勝ちたいという意志よりも、勝つために準備しようという意志のほうがずっと大切だ。」

質問が役に立つのは、ビジネスの場面だけではない。たとえば、あなたがこれから家族大切な話をするとしよう。そんなときでも、自分の話すことではなく、質問を準備し、好奇心を高める準備をするほうが建設的な会話ができる。

また、好奇心を高めておけば、話の最後にもう1つ質問することもできる。

刑事コロンボは、完全犯罪をたくらむ犯人の捜査で、気軽なおしゃべりのような質問をたくさんする。まるで無邪気な子どものように、コロンボの質問はあっちこっちに飛んでいくから、犯人もいつの間にか警戒心のガードを下げてしまう。

そして、コロンボは去り際に質問をする。必ずドアのところでふり返り、偶然思いだしたようにこう言うのだ。

「すみません、あと1ついいですか。もう1つおたずねしたいことがありました」

コロンボは、この最後の質問で完全犯罪を切り崩した。

顧客を獲得するのは、顧客に対していちばん興味を持っている業者だ。そして顧客にたずねる質問の質と量が、興味の大きさを表現する。

自分は商売をしていないから、この話は関係ないと思う人もいるかもしれない。しかし、「宝島」「ジキルとハイド」の著者ロバート・ルイス・スティーヴンソンはこう言う。

「人は誰でも、何かを売って生きている。」

1944年にノーベル賞を受賞した物理学者のイジドール・イザーク・ラービは、物理学での成功の秘訣をたずねられると、子どものころ、学校から帰るといつも母親から言われた言葉のおかげで成功できたと答えた。

「今日は何かいい質問をしましたか?」

誰かに質問をする。それだけで、あなたはすでにその人との関係を築いている。相手が動くのを待つ必要はない。自分から質問をして、自分から関係を築こう。