28. 自分オリジナルの儀式をつくる

ここまで、さまざまな自分を変える方法を読んできて、あなたは「行動がカギ」となる方法が多いことに気づいたのではないだろうか。

何か1つ行動を起こすと、それが次の行動につながる。これは宇宙の法則だ。

一度、動きだした物体は、慣性の法則でずっと働きつづける。だから、一度動きだしてしまえば、それほど大きなエネルギーは必要なくなるのだ。

では、その最初の行動のきっかけをつかむにはどうすればいいか?

それには、自分なりの儀式をつくることだ。自信とやる気が高まるような行動を「儀式」にしてしまえば、いつでも簡単に自分をいい状態にすることができるようになる。

実際、自分だけの儀式を持っている一流の人物は多い。

偉大なバスケットボール選手ジャック・トゥイマンは、いつも時間より早く練習場に来てシュートを200本打った。

シュートの数は必ず200本だ。20本か30本で十分に身体が温まったとしても関係ない。それが彼の儀式だったからだ。

この儀式さえやれば、そのあとの練習でも試合でも、彼はやる気と自信を持って、最高の状態で取り組むことができた。

私の友人でもあり、エミー賞受賞経験のあるテレビ脚本家でコメディアンのフレッド・クナイプにも独自の儀式がある。

名づけて「アイデアドライブ」だ。

何か大きな仕事が入ると、フレッドは車に乗る。そしてよいアイデアが浮かぶまでツーソンの砂漠を延々とドライブする。

彼によると、車の運転をすると論理的思考を司る左脳が忙しくなる。そのせいで、創造的な活動をする右脳が自由になるので、いいアイデアが浮かんでくるのだという。

偉大なピアニストで作曲家のグレン・グールドは作曲に行き詰まると、ある決まった儀式を行っていた。

3つのラジオに同時にスイッチを入れ、すべて違う局に合わせる。そして、3つのラジオから流れてくる違う音楽を同時に聴きながら、作曲をするのだ。

無意識の創造性を活発にするために、グールドが独自に編みだした方法だ。違う曲を聴き分ける作業で左脳が忙しくなるので、創造性を担当する右脳が、左脳にじゃまされず自由に活動できるようになるのである。

私のやる気と創造性を高める「儀式」は歩くことだ。

私はこれまでの人生で、とても自分の手に負えないような問題に何度も直面してきた。そんなときは、その問題を抱えたまま長い散歩に出た。

ときには何時間も歩くこともあった。ただひたすら歩いていると、必ず、いいアイデアが浮かんできた。突然、問題解決につながる方法が見えてくるのだ。

私が思うに、歩くことに効果がある理由の1つは、それが行動だからだ。

一度行動を起こせば、自然とやる気も高まり、それが解決策の発見につながる。

儀式とは、行動を起こすことでもある。呪術師が儀式のときに踊るのも、行動を起こすことがポイントなのだ。

あなたも自分だけの儀式をつくろう。儀式のメリットは、それが習慣化するほど、簡単に行動を起こすことができるようになることだ。

あなたはこう思っているかもしれない。自分は作家ではないし、画家でも詩人でも、呪術師でもない。だから創造性を高めるというのは、自分には関係のない話だ、と。

しかし、それは創造性に対する誤解だ。実際、人は誰でも創造的な活動をしている。

そもそも、人生そのものがあなたの創造物だ。

創造性が必要なのは、いわゆる「クリエイティブな仕事」だけではない。

キング牧師もこう言っている。

「どんな仕事をしていようと、その仕事で芸術家になりなさい。もし道路の清掃の仕事なら、清掃係のミケランジェロになりなさい。」