25. 人間関係には理性的に取り組む

インドの神秘主義哲学者クリシュナムルティはこう言っている。

「人間関係に終わりはない。ある1つの関係は終わるかもしれないが、人と関係することは終わらない。存在するとは、他者とつながることだからだ。」

私は企業のセミナーで4つのパートからなるコースを使っている。最初の3パートはセルフモチベーション、つまりやる気について。最後のパートが人間関係の構築についてだ。

私がこれを説明すると、たいていの経営者は、その配分は間違いではないかとたずねて「人間関係の構築にもっと時間を割くべきではないかな」と、彼らは言う。「チームの構築やカスタマーリレーションは、モチベーションより重要だろう」

しかし、私はこの配分を変えない。なぜなら、自分自身をコントロールできなければ、他者とつながることはできないからだ。

まずはモチベーション、それからよい人間関係だ。

「他者との関係を築く」という4つ目のパートは、創造性に主眼を置くことになる。人間関係の構築で創造性が注目されることはめったにないが、実はとても役に立つのである。

人間関係においては、たいていの人が理性よりも感情で考える。

しかし実を言うと、それでは本末転倒なのだ。人間関係は創造性を高めるチャンスだと考えて取り組めば、関係は必ず向上する。そして関係が向上すると、モチベーションもさらに高まる。

末娘のマージーが小学校の4年生のときのことだ。同じクラスにいるとても恥ずかしがり屋の女の子が、自分の鼻の頭に油性マジックで大きな黒い染みをつけてしまった。

クラスの子どもたちは、女の子を指さして大笑いし、女の子は恥ずかしさのあまり、泣きだしてしまった。

それを見たマージーは、席を立って女の子のところに行き、黒いマジックを手に取ると、自分の鼻の頭にも大きな丸を描いた。

他の子にもマジックを渡しながら、こう言った。「このすてきでしょう?みんなもやったら?」

あっという間に、クラス全員の鼻の頭に、大きな黒い染みが出現した。さっきまで泣いていた女の子も、その様子を見て笑っていた。

休み時間になると、マージーのクラスはみんな鼻の頭を黒くして校庭に出ていった。すると黒い鼻は、学校中の憧れの的になった。変わっていてかっこいいと大評判になった。

この話は、彼女の行動に感心した担任の先生から教えてもらった。

ここで注目すべきは、マージーが問題を解決するときに、感情ではなく、創造性と理性的な思考力を使ったことだ。マージーは、その場の空気に飲まれずに、一段上がって理性を使い、賢い解決策を思いついた。ここで感情を使っていたら、女の子を笑ったクラスメートに怒っていただろう。

人間関係の問題があるなら、まず理性で考えるようにしてみよう。

そうすれば、創造的になれる無限のチャンスが手に入る。

逆に感情的に考えていると、問題は永遠に居座ってしまうのだ。

私は何も、まったく感情を持ってはいけないと言っているわけではない。ここで大切なのは、自分の感情を自覚し、感情的に反応するのを自制することだ。

人間関係の問題に対処するときは、高い次元の自分になって、創造性を発揮するモードに入るべきなのだ。

そもそもあなたの人間関係は、あなたが創造したものだ。ただそこに現れたのではない。

イタリア人作家のルチアーノ・デ・クレシェンツォは言った。

「人はみな、翼が片方しかない天使だ。だから誰かと抱き合わなければ、空を飛ぶことはできない。」