24. 恐れていることを体験してみる

「恐怖は死よりもたくさんの人を殺す」

これはジョージ・パットン将軍の言葉だ。

死が原因で死ぬのは一度だけ。しかも、自分が死んだことは自分ではわからない。

しかし、恐怖は人を何度も殺す。恐怖に殺された自分を自覚するのは、本当につらいものだ。

恐怖から逃げようとしても、それはまるでしつこい犬のようにあなたを追い回す。そんなとき、目をつぶって恐怖なんて存在しないふりをするのは最悪の行動だ。

「恐怖と苦痛のせいで目を閉じてはいけない。恐怖と苦痛は、むしろ目を大きく開けるための合図である。」

これは、心理学者のナサニエル・ブランデンの言葉だ。

恐怖に目を閉じるのは、生きたまま埋められるのを受け入れるようなものなのだ。

「生きたまま埋められる」これは、アルコールとドラッグが原因で夭折したロック歌手、ジャニス・ジョプリンの伝記のタイトルでもある。

ジャニスのように、問題を抱えた人の多くは、恐怖を忘れるためにアルコールに逃げる。

しかしアルコールに逃げても、本当の解決は得られない。

恐怖を忘れられるのはほんの一瞬だ。現にアメリカの開拓時代、ウィスキーは「偽物の勇気」と呼ばれていた。

以前の私は、人前で話すのが何よりも怖かった。人前で話すのが苦手な人は多いが、私の恐怖は根が深かった。

子どものころは、本の感想を教室で発表することができなかった。本の感想文を3つ書くから、発表はなしにしてほしいと先生に泣きついたものだ。

しかし大人になって、私は人前で話す仕事がしたくなってしまった。私が学んだモチベーションを高める方法を、世界に伝えたくなったからだ。

しかし、子どものころからの舞台恐怖症は変わっていなかった。これを克服しなければ、夢をかなえることはできない。

そんな当時、車でラジオのダイヤルを回していると、偶然ある宗教番組が流れてきた。芝居がかった牧師が叫んでいる。

「恐怖にむかって走りなさい!自分の恐怖に正面からぶつかりなさい。」

私はあわてて違う局に変えたが、この牧師の言葉は翌日になっても耳から離れなかった。

私にはわかっていた。その言葉は、私がまさに必要としていた言葉だったのだ。

私は一念発起した。女優をしている友人に電話をして、演技クラスを紹介してもらいたいと頼んだ。

演技クラスに通い始めてからの数週間は、不安の毎日だった。しかし、もう恐怖から逃げることはできない。

そもそも、恐怖から逃げる道は元から存在しない。

逃げれば逃げるほど、恐怖は大きくなる。本当に恐怖を克服したいなら、ここで一度ふり返り、真正面からぶつかっていくしかない。

エマソンはこう言った。

「実際に勇気を出して取り組んだ経験が、勇気の大きな源となる。」

私にとって、人前で話すことがそれだった。何かが怖いなら、その何かを実際に行うことが、恐怖を克服する唯一の方法だ。私の場合も、何度も人前で話すしか方法はなかった。

実際にそうすることで、「私にもできる」という自信はどんどん高まっていった。

恐れていることは実際にやってみる。その後にやってくる快感ほど、エネルギーを高めてくれるものは他にない。

自分の恐れているものを何か実行してみよう。その効果にはびっくりするはずだ。