21. 高校生の自分に人生を決めさせない

人生は高校入学の前後で変わる。高校生になる前の無邪気な時代、人はエネルギーと好奇心の塊で、誰もが夢をたくさん持っている。

ところが、高校生になると、人生の目的は「恥をかかないこと」に変わってしまう。高校生になると人目を気にするようになるからだ。

高校時代の友人リチャードもそうだった。

あれは、2人で学校から歩いて帰っていたときのことだ。リチャードは突然立ち止まり、恐怖で顔をこわばらせていた。私は「どうしたの?」とたずねた。

すると、リチャードは自分のズボンのベルトを指差した。見てみると、1ヵ所だけベルト穴に通していないところがあった。

リチャードはやっと口を開いた。

「1日中このままだったなんて信じられない……」

今日1日、みんなが自分を見てどう思っていたか、彼は恐ろしくて想像することもできなかった。これで自分の評判は地に落ちた。リチャードはそう思いこんでいた。

セミナー講師をするとき、私の楽しみは受講者からの質問を受けることだ。

しかし残念なことに、活発に質問が出ることは少ない。たいてい受講者は、自意識過剰の思春期の子どものように、周りを気にして凍りついたように座っている。

以前の私は「何も質問がなければ、休憩にしましょう」と言っていた。受講者は休憩が大好きなので、これで質問をする人はいなくなってしまう。

しかし、私にとって、受講者からの質問の時間は大切だ。だから、あるときから、こんな条件をつけることにした。

「5つ質問が出たら、休憩にしましょう」

つまり、質問の時間をある種のゲームに変えるのである。

すると受講者は、早く休憩が欲しいので、自分でも質問をするし、周りの人をせっついて質問を出させようとする。私はここで、質問しやすい環境をゲーム感覚でつくりだしたわけだが、その本質は「プレッシャーを取りのぞく」ことだ。

こんな簡単なゲームでも、高校生のように人目を気にする自分を忘れさせる効果がある。人目を気にしないのは、実は簡単なのだ。

その気になれば、すぐにでも人目を気にしない人になれる。

しかし、ほとんどの人はそれに気づいていない。いつまでも高校生のころに生まれた自意識にとらわれて、頭の中で想像した批判にびくびくしてしまう。そして、「他人の目」を基準に自分の人生を設計してしまうのである。

そんな高校生の自分が決めた人生をあなたは望んでいるだろうか?

高校生のように人目を気にする自分は忘れることができる。自分で自分の人生を選ぶことができるのだ。

思想家、ラルフ・ワルド・エマソンの次のシンプルな質問を自分に投げかけてほしい。必要なのは、たった1つのこのシンプルな質問だけだ。

「なぜ私の感情は、他人の思考で左右されるのか?」