「脳科学」から見た「やる気」の出し方

仕事、勉強、家事、やらなければならないことがたくさんあるのにダラダラとテレビを見たり、ネットサーフィンをしてしまう。

時間ばかりが過ぎて焦りを感じるけれども、やる気が出ない。追い込まれないとやれない。そんな自分が嫌になってしまう、、、

これは自分の性格だからどうしようもないと諦めていませんか?

ダラダラするから「やる気」が出ない?

脳科学の研究から「ダラダラ過ごしていれば、いつまでたってもやる気が出ない」ことがわかっています。どうすれば「やる気」を起こすことができるのか、脳科学の観点から見てみましょう。

脳はエネルギー消費量が大きい

「脳」という器官は体重の2パーセント程度の重さしかないにも関わらず、体全体の20パーセントものエネルギーを消費します。囲碁や将棋のプロ棋士は一回の対局で2~3キロ体重が落ちるともいわれています。

脳は他の臓器と比べ、エネルギー消費量が非常に大きいのです。

脳には「さぼる」機能がついている

体の他の臓器もエネルギーを必要としますから、大食漢である脳にばかりエネルギー供給するわけにはいきません。

そのため、脳には、外からの「刺激」が少なければ活動を抑制するという「省エネ」の機能がついています。いわゆる「さぼる」という機能が脳には備わっているのです。

「やる気が出ない」というのは、脳の活動が低下し「省エネモード」になっている状態といえます。食料が簡単に手に入らなかった時代を生きながらえてきた人類にとって、脳のエネルギー節約機能は生命を維持するためにとても重要な機能だったはずです。

「行動」することで「やる気」のスイッチが入る

やる気を起こしたければ、省エネモードになっている脳のスイッチを通常モードに切り替えなければいけません。何がやる気のスイッチになるのでしょうか?

それは脳への「刺激」です。

やる気を起こすための脳への「刺激」はいくつかありますが、そのうちの2つを紹介しましょう。

やる気スイッチ(その1)

一つ目は、行動することによる「状況の変化」です。

自主的に行動したときの、目に見える変化、もしくは結果のことです。たとえば、部屋の片付けをすれば、当然、部屋の様子(状況)は変わります。そのような自分にとってプラスの変化、成果によって脳が刺激され、やる気スイッチが入ります。

やる気スイッチ(その2)

二つ目は、体を動かすことによる「感覚的な刺激」です。

体を動かすとやる気が起こるのは、やる気に関わる脳の器官(大脳辺縁系にある淡蒼球、側坐核、線条体など)が運動と感情の両方の機能を担っているからです。

このように、脳の構造から、運動とやる気は密接に関係しています。

やる気のエンジンが始動するのには少し時間が必要

キーワードは「行動」です。行動することで脳が活性化し、やる気が起こるのです。

多くの人は部屋の片づけや掃除を始めたら、だんだんと気分が乗ってくる、といった経験があると思います。これはドイツの精神医学者クレペリンが発見した「作業興奮」という脳の現象によるものです。

「作業興奮」の状態にあるときは、側坐核などが活性化し脳内は興奮状態になっていますが、その状態を作り出すためには、最低10分程度、継続した脳への刺激が必要といわれています。

やる気が出なくても10分間は続けてみよう!

勉強や仕事、片づけなど、やる気が出ない時は、無理に気持ちを奮い立たせようとしてもうまくいきません。そこで、とりあえず簡単なこと、好きなこと、やりやすいことを何かやってみようという軽い気持ちで始めるのがポイントです。

勉強や事務作業、散歩、軽いジョギング、掃除、片づけ、何でもかまいません。

大切なことは「やる気が出るまで待つ」のではなく、やる気が出ないままでも、とにかく「何か行動を始める」ことです。そして10分程度は気分が乗らなくても作業を続けてみましょう。

疲れを感じたら休息をとる

脳もからだの一部ですから興奮状態が長く続くと疲れてしまいます。質の高い作業興奮の状態を保つためには、十分な睡眠、休息をとって脳を休ませることが大切です。疲れたなと思ったら無理をせず休むことを意識しましょう。

息抜きは「仮眠」と「散歩」がおすすめ

作業の合間の息抜きとしておすすめなのは「仮眠」と「散歩」です。

疲れで眠気を感じたら、15~30分程度の仮眠をとると良いでしょう。

脳にとって最高の休息は「睡眠」です。睡眠中に脳内の老廃物が除去されますから、短い仮眠であっても、頭がスッキリすることを実感できるでしょう。

息抜きにコンビニに買い物

集中力が途切れたと感じたら、気分転換にコンビニに買い物を行くなど、外に出て「歩く」、もしくは「軽く走る」ことがおすすめです。

手足の運動をつかさどる脳の部位(運動野)は頭頂付近にあるため、歩く(走る)ことで血液が脳の上部まで汲み上げられ、脳全体の血流が増えます。

心拍数上昇も手伝って、脳全体に酸素が行きわたり、思考がクリアになります。気分転換ができて頭もスッキリして、作業をスムーズに再開できるでしょう。

「やる気」は気分に左右される

やろうと思っていることを「ポジティブに考える」ことはとても重要です。「やる気」は気分に左右されやすいからです。

たとえば目の前の仕事に対して「やることが多すぎる」「複雑で難しい」などと考えてしまうと、「自分にはできない」「面倒くさい」「やりたくない」というネガティブな考えに引っ張られ、やる気が落ちてしまいます。

ここで、仕事や勉強などをポジティブな気持ちで取り組むためのヒントを2つお伝えしましょう。これを意識するだけで、仕事や勉強の効率がアップするはずです。

① やるべきことをできるだけ小さな作業に分解する
② ひとつの作業に集中する(マルチタスクではなく、シングルタスク)

① やるべきことをできるだけ小さな作業に分解する

仕事全体を一塊で見ると、その量や複雑さに圧倒されて、気分が滅入ってしまうことがあります。

そこでまず、仕事全体を30分~1時間程度でこなせるくらいの作業内容に細かく分解します。そしてそれを箇条書き(ToDoリスト)にしてみましょう。

このように、やるべきことをできるだけ小さな作業に分解し「見える化」すると、一つひとつはそれほど大変な作業ではないことが分かり、行動を起こしやすくなるでしょう。

② ひとつの作業に集中する(シングルタスク)

次に、分解した小さな作業ひとつだけに絞って集中して取り組みます。他の作業のことは一切考えません。「簡単だ」と思える課題には喜んで取り組むという脳の性質を利用するのです。

逆に「できない」「失敗する」という恐怖を感じると、無意識のうちに「逃げ出す」行動をとってしまいます。脳が恐怖を感じないようにうまく計画を立てましょう。

また、一つひとつ課題を片付けていくことで、その都度、達成感や満足感を得ることができます。そしてそのようなポジティブな感情がさらにやる気を引き上げます。

”感情”は人間の行動の原動力です。ポジティブな感情をうまく作り出すことで”やる気”を高め、楽々と作業をこなしていきましょう。