うつ病の身体症状


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うつ病は精神症状だけでなく身体症状も現れます。精神症状が現れる前に身体の不調を訴える場合が少なくありません。明らかな体調不良を自覚し、その後、次第にうつ病の精神症状が現れはじめます。 うつ病の身体症状でもっとも多くみられるのは、「不眠」「頭痛・頭重」「食欲不振」です。

不眠などの睡眠障害、とくに明け方(夜中の3時頃)に目が覚めて、そのまま眠れなくなる「早朝覚醒」が多く見られます。また、寝付くまでに1時間以上かかってしまう「入眠困難」も多く見られます。寝返りばかりうちますが、眠れないので暗闇の中で悶々と考え事をしてしまい、焦りや憂うつな気分が強くなっていきます。不眠になると、朝は頭が重く感じられ気分もすっきりしません。一日中体がだるく、頭が重く、仕事や家事に集中できなくなります。

頭痛・頭重、食欲不振のほか、肩こり、胃の痛み、下痢・便秘なども起こりやすい症状です。また、疲れやすい、だるい(倦怠感)、発汗、息苦しさ、性欲減退などの症状が起こることもあります。 内科や整形外科の検査で数値的な異常が見つからないため、「自律神経失調症」「更年期障害」などあいまいな診断を下されることがありますが、実はうつ病だったということが多くあります。精神症状がひどくなって初めて「うつ病」と診断されるため、治療開始が遅れてしまうことになります。以下のような身体症状はうつ病の初期症状かもしれません。


■ 身体症状の分類
「感覚症状」
頭痛・頭重、めまい、ふらつき、のぼせ、ほてり、しびれ感、肩こり、首のこり、背部痛、腰痛、関節痛、味覚障害、嗅覚障害など

「全身症状」
全身倦怠感、疲労感、体重減少、睡眠障害など 「循環器症状」 胸部圧迫感、前胸部痛、動悸、息切れ、呼吸困難感など

「消化器症状」
口の渇き、吐き気、食欲不振、食道異物感、胃部不快感、下痢、便秘など 「泌尿・生殖器症状」 頻尿、残尿感、排尿痛、性欲減退、月経不順、無月経、など


■ 身体症状の出現率
不眠・早朝覚醒(80~100%)
疲労感・だるさ(50~90%)
食欲不振(50~90%)
頭重・頭痛(50~90%)
口の渇き(40~80%)
下痢・便秘(40~80%)
体重減少(60~70%)
動悸(40~60%)
性欲減退(60~80%)
月経異常(40~60%)
頻尿(60~70%)
目のかすみ(20~50%)
めまい(30~70%)
発汗(20~70%)
ふるえ(10~30%)


■「仮面うつ病」とは?
うつ病からくる身体症状は、病院で検査をしても身体的な病気は見つかりません。しかし、本人は苦痛を感じているため、納得できずに病院を転々と渡り歩くケースも見られます。身体症状が続いているのに、検査で異常が見つからないときは、うつ病の可能性があります。このような場合、うつ病の精神症状が身体症状の「仮面」に隠されているという意味で「仮面うつ病」と呼ばれることもあります。身体症状ばかりが前面に出て、憂うつ感などの精神症状の目立たない病態です。 精神症状よりも身体症状が強いため、自律神経失調症などの内科の病気として処理されることも少なくありません。漫然と薬を飲み続けても身体症状が良くなることはありません。長期化し精神症状が現れてくることもあります。また、原因不明の体調不良で仕事を休みがちの人や、子どもが身体症状を訴えて学校を休みがちの場合は仮面うつ病の可能性があります。



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