うつ病の精神症状


うつ病の精神症状

うつ病は精神的な苦痛をともなう病気です。
強い憂うつ感、気分の落ち込みが長く続き、自分では気持ちの切り替えができないため非常に苦しく、生活や仕事に支障が出てきます。
その症状はとくに朝方に強く出る傾向があります。
また、精神的なエネルギーが低下した状態であるため、周囲のことや趣味などに興味がもてなくなり、何も楽しめず、むなしい気持ちが強くなります。
他にも、集中力、思考力の低下、強い焦り、過剰に自分を責める、などの症状が出てきます。
自分は価値の無い人間という自己否定的な思いも強くなり、重症化すると妄想や幻聴が現れることもあります。



うつ病の基本症状
「抑うつ気分」
気分の落ち込みが一日中、毎日続く。とくに朝方にひどくなる。

「興味や喜びの喪失」
今までしていた活動や趣味に興味が持てなくなり、何をしても楽しくない。

「食欲不振」
食べる気がせず、何を食べてもおいしくない。体重が減ることもある。

「睡眠障害」
寝つきが悪くなったり、早朝に目が覚めて、そのあと眠れなくなる。
逆に寝すぎてしまうこともある。

「疲れやすい」
たいして活動していないのに、ひどく疲れたり、身体が鉛のように重く感じる。

「自殺を考える」
どこか遠くへ行きたい、消えてしまいたいと考えるようになる。

「集中力がなくなる」
集中力がなくなり、以前のように家事や仕事ができなくなる。

「動きが遅くなる」
体の動きが緩慢になる。口数が減り、声が小さくなる。

「自責の念が強くなる」
自分は価値の無い人間だとの思いが強くなり、過剰に、繰り返し自分を責める。



憂うつな気分
うつ病の主な症状は「抑うつ気分・憂うつ」と「喜び・興味・気力の喪失」です。
日常生活に支障が出るほど気分が落ち込みます。
うつ病の人は、死にたくなるほどのつらさを感じていますが、気持ちを言葉にすることは簡単ではありません。
また、このつらさは誰にもわかってもらえないとの思いもあり、家族や友人に気持ちを打ち明けずにいる人も少なくありません。

「泣きたい気持ちがおさまらない・・・」
「どうしようもないほど孤独だ・・・」
「頭がからっぽになったみたいで、なにも感じない・・・」
「胸になにかが詰まって苦しい・・・」
「だるい、からだに力がはいらない・・・」
「すべてを失った、人生真っ暗だ・・・」
「なにもやる気がおこらない・・・」
「生きていてもしかたない・・・」

夕方頃になると少し気分が楽になることはありますが、不安定な気分は続きます。
憂うつ、抑うつ気分が長く続くので、自分でも普通ではないと思うようになります。



自責の念
うつ病の人は自分を責める傾向があります。

「自分は何もできないダメな人間だ」
「まったく役に立たない人間だ」
「すべてわたしのせいだ」
「もうとりかえしがつかない」
「あのときもっとがんばっていれば」
「こんな私が生きていても意味がない」

うつ病の人は、本人のせいではないことを自分のせいだと思い込み、過剰に自分自身を責める傾向があります。
自分を否定する考え(たいていは同じような考え)がぐるぐると頭の中を巡ります。
その考えは次第にエスカレートし、自己嫌悪から絶望的な気持ちになり、自分の存在までも否定するようになります。



集中力の低下
仕事上でささいなミスを繰り返したり、仕事や家事の効率が落ちて思うように進まないのは、集中力が低下しているためです。
考えがまとまらず、身体も動かず、時間ばかりが過ぎていきます。
集中力や判断力、理解力の低下は、うつ病の症状のひとつです。
しかし、本人は仕事や家事が進まない自分を許すことができず、「能力が足りない」「努力が足りない」「自分はダメだ」と考えて、落ち込んでしまいます。
家族や同僚がいつもとようすがちがうと心配してやさしい言葉をかけても、できない自分を責めて腹を立てたり、悲しくなったりします。
以前はできていたことがうつ病になると全くできなくなります。
それはうつ病の「症状」のせいだということを、本人や家族、上司、同僚が理解することが必要です。



不安感と焦燥感
うつ病の症状の中核はうつ気分ですが、同時に不安感や焦燥感(強いあせり)をかかえている場合も少なくありません。
不安感や焦燥感から生じる気持ちの高ぶりによって、急に大声で叫びたくなったり、泣きわめいたりしてしまうこともあります。
焦燥感は不安が根底にある場合があり、不安感が強くなると焦燥感も強くなります。

「不安感」
漠然とした不安、イライラする、理由もないのに涙が出る、部屋に閉じこもる

「焦燥感」
落ち着かずじっとしていられない、大声で叫びたくなる、泣きたくなる、疲れてヘトヘトになる


うつ症状がなく不安感だけを訴える場合は、不安障害と診断されます。
不安障害には、
人と話すことが怖いと感じる「社交不安障害」、
死の恐怖と不安からパニック発作を起こす「パニック障害」、
生活全体に強い不安感があり引きこもってしまう「全般性不安障害」
などがあります。
これらの不安障害からうつ病を発症する場合も少なくありません。
うつ病と不安障害の2つの診断を同時に受ける場合もあります。
焦燥感は気分が不安定な状態ですが、気分が高ぶる(気分よく高揚する)ことがあれば、双極性障害(躁うつ病)の可能性があります。



自殺念慮
うつ病の人は、自責の念と絶望感から、自分の存在自体を否定し、一度ならず「死にたい」「消えてしまいたい」と考えるようになります。

自責の念
「周りの人に迷惑ばかりかけていて、こんな私なんかいないほうがいい・・・」

絶望感
「なにもかも失ってしまったし、生きていてもしかたない・・・」

「死にたい」と考えるようになると、何を見ても自殺に結び付けて考えるようになります。

「ベランダから飛び降りたら一瞬で死ねるな」
「柱にロープをかけることができそうだ」
「たまった薬を一度に飲めば死ねるかな」
「刃物でリストカットすれば出血多量で死ねるかも」
「ガス栓をひねれば、中毒で死ねるかな」

衝動的に実行してしまうこともあるので、細心の注意をはらう必要があります。
思考力、判断力が低下しているため「死ぬしかない」という考えが頭の中をぐるぐる巡り始めると、その考えから抜け出すことが難しくなります。
本人は、それが不自然で極端な考えだとは冷静に考えられません。
このような極端な思考もうつ病の症状のひとつです。
自分の極端な思考に気づいて受診にいたる人もいますが、自分の考えがおかしいとは思えず一人で悶々と悩んでいる人もいます。




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