人間関係を改善する方法


「人間関係」を改善する方法


・期待を明確にするための問いかけ
・コミュニケーションを阻害するもの
・自分の期待の検証法
・相手から期待されている役割を理解する
・「ずれ」を広げてしまうコミュニケーション
・けんかにならない「話し方」
・コミュニケーションをうまくとるためのコツ
・話し合いの習慣の作り方
・大切なことは「自己理解」


■ 期待を明確にするための問いかけ

人間関係のストレスや相手に対しての怒りは、自分が相手に求める「期待」が「裏切られた」と感じることから生じます。 ストレスを小さくするためには、「より現実的な期待をもつ」しか方法はありません。

相手への「期待」と相手の実際の「対応」の「ずれ」が大きければ大きいほどストレスも大きくなります。「ずれ」を小さくするためには、コミュニケーションを通して、自分が相手に期待していることが妥当かどうか確かめて、修正していくことが必要です。 自分は正しくて、相手が間違っている、相手が考えを改めるべきだと責める姿勢だと、関係は改善しませんし、解決の糸口は見つかりません。

「期待のずれ」として見ることができれば、相手への期待が妥当なものかどうか検証し、それをどのように伝えているか、相手は理解しているのか、自分の思い込みではないのか、など考えることができます。この過程で、相手が変わることもあれば、自分が変わることもあるでしょう。いずれにしても、問題が解決可能なものと考えられるようになり、解決の手がかりがつかめれば、関係は改善されます。その手がかりとして、自分自身への次のような問いかけがとても重要です。

◆ 自分から相手への期待
 ・自分は相手に何を期待しているのか?
 ・その期待は妥当か?

◆ 相手から自分への期待
 ・相手は自分に何を期待しているのか?
 ・その期待は妥当か?
 ・そもそも相手は実際にそういう期待をしているのか?

◆ 期待を伝え合うコミュニケーションは適切か?



■ コミュニケーションを阻害するもの

期待のずれを小さくしていくためにはコミュニケーションが必須ですが、それを阻害する要因があります。それは、「自尊心の低さ」と「罪悪感」です。 相手にこうしてほしいと思っても、それを主張する価値が自分には無いと思ったり(自尊心の低さ)、相手が気を悪くするのではないか、傷つけてしまうのではないか、ということを恐れて(罪悪感)、自己主張ができなくなります。



■ 自分の期待の検証法

「期待のずれ」を解決するための第一歩は、自分が相手に何を期待しているかを理解することです。 自分の期待を見つけるポイントは、相手との間に感じたストレスです。ネガティブな感情(自分を責める気持ち、不安、イライラ)が起こったとき、といってもよいでしょう。そういうときには、自分の期待が満たされていないといえます。相手がどうしてくれたらもっと安心(満足)できたのどうか、というふうに考えてみれば、自分が相手に何を期待しているかが分かります。 自分が相手に何を期待しているかがわかったら、それらの期待が、相手にとって本当に実現可能なことなのかどうかを考えていきます。そして、相手に合わせて期待のレベルを調整します。 この作業をしないと、「期待にこたえてくれない」イコール「自分のことを気にかけてくれない」という結論に陥ってしまいます。期待が満たされないたびに「自分のことを大切にしてくれない」「裏切られた」という思いが積もっていってしまいます。あるいは、「もうこの人には何を期待しても無駄」という反対側の極論に走ってしまいます。 期待のレベルを変えることは、一見するとストレスのように思えるでしょうが、実際には期待が満たされないたびに不要なストレスを積み重ねていくよりもずっと気分がよくなります。また、相手が「何を期待しても無駄」な人ではなく、適切な期待には応えてくれる人だということがわかり、信頼感も増すでしょう。期待のレベルを変えることは相手に失礼だと思うかもしれませんが、実際には逆なのです。



■ 相手から期待されている役割を理解する

相手から自分への期待を明らかにしてみるだけで事態が大きく前進し、「ずれ」が解決することがあります。でも、もちろんそんなに簡単なケースばかりでもなく、相手の期待を明らかにしてみたけれども、とても自分には受け入れられないということもあります。そんなときは交渉をしていくことで相手からの期待を調整することもできます。また、相手が自分に対して明らかな無理難題を期待している場合は、関係そのものを解消しなければならないこともあります。 つまり、相手の期待を明らかにすることは最初のステップにすぎず、それに応じて自分はどうするか(交渉するか、関係を解消するか)を決めなければいけません。相手の期待を知って初めて自分はどう対応するかを決められますから、相手が自分に何を期待しているのかは誤解がないように知っておくことが必要になります。



■「ずれ」を広げてしまうコミュニケーション

「期待のずれ」を埋めていく大きな手段は「コミュニケーション」です。どんな期待をしても、伝えなければ伝わりません。それぞれの期待を伝えるのもコミュニケーションですし、その期待が相手にとってどれだけ妥当なものであるかを検証するのもコミュニケーションです。 ところが、「期待のずれ」がある状態のときには、むしろ「ずれ」を広げてしまうコミュニケーションをしがちになります。

「ずれ」を広げるコミュニケーションを次に挙げてみます。


① 言葉を使わないコミュニケーション

不満があるときに、自分の気持ちを言葉で伝えずに、ため息をついたり、にらみつけたりする、というコミュニケーションをする人は少なくありません。言葉を使わないコミュニケーションの問題は、メッセージが正確に伝わらないことです。誤解をまねくこともあります。こちらが言葉を使おうとしなければ、相手と向き合って話し合うこともできません。なお、暴力や自傷行為も「言葉を使わないコミュニケーション」のひとつです。


② 間接的なコミュニケーション

言葉は使っていても、直接的な言い方をせず、嫌味を言ったり、婉曲的な言い回しをしたりしてしまうこともあります。言いにくいことを言う場合には、間接的な言い方をした方が「角が立たない」と感じる人も多いものですし、気分が落ち込んでいるときはますますその傾向は強まります。①の場合と同じで、間接的な言い方では、誤解を招くこともありますし、相手ときちんと向き合って話し合うことができません。直接的な言い方であっても相手を不愉快にさせないコミュニケーションのしかたについて学ぶ必要があります。


③ 自分の言いたいことは伝わっているという思い込み

はっきりした言い方をしなくても、他人は自分の必要としているものや自分の気持ちがわかっているはずだと思い込む、というパターンです。このような考え方でいると、「わかっているはずなのに、なんであんなことをするのだろう」などという不満がつのり、相手との「ずれ」は広がるばかりです。 このパターンは、①と②とセットで問題になることが多いです。つまり、あいまいなコミュニケーションしかしていないのに、相手はわかったはずだと思い込み、改善されない相手の態度を見て絶望を深める、という具合にです。


④ 相手の言いたいことはわかっているという思い込み

相手のメッセージが不明確なのに確認しない、というパターンです。相手に批判されたように感じたときに、それを確認しないで「私はあの人に嫌われている」と思い込んでいくようなケースです。相手はそんなつもりではなかったということもありますから、一方的な思い込みによって「ずれ」は広がっていきます。 批判に聞こえる相手の言葉の真意を確認してみることは、価値があります。実際には批判ではなかったということも多いですし、本当に批判だったとしても、あいまいな人格否定から、具体的な改善点へと焦点を絞っていくことができれば、相手の言葉はあなたにとって有益な助言となります。


⑤ 沈黙

怒りや不快を表現せずに沈黙してしまうというパターンです。相手に直接怒りをぶつけるよりも沈黙したほうがまだましであると考えている人も多いと思いますが、沈黙というのはコミュニケーションの打ち切りであり、最も破壊的な対応であるともいえます。



■ けんかにならない話し方

相手を怒らせる原因は、相手に対して「決めつけ」をしていることです。「間接的」がよくないからといって、自分の勝手な「決めつけ」を相手に伝えることは、「直接的な」コミュニケーションではありません。相手を怒らせ、相手からも自分への「決めつけ」の応酬をしてきて、けんかになるだけです。

ポイントはつぎの2つです。

① 憶測ではなく、事実関係についてだけ話す

② 事実に基づいた自分の正直な気持ちを伝える (「I」メッセージではなす。「決めつけ」は「You」メッセージ)



■ コミュニケーションをうまくとるためのコツ

うまくコミュニケーションをとるためのコツを7つ挙げます。

① よいタイミングを見つける

内容だけでなく、「いつ話すか」というタイミングも重要です。基本的には相手の役に立ちたいと思っている人でも、余裕がないときには何かを言われると、あまり相手の立場に立った対応ができないからです。重要なコミュニケーションをするときには、それがよいタイミングかどうかを考えます。いつがよいか、相手に直接聞いてみてもいいでしょう。 相手が忙しくてなかなかまとまった時間が取れないというときには、こちらの言いたいことをまず手紙やメールで伝えるというやり方もあります。


②「現在」の問題について話す

相手と話しているうちに、だんだんとヒートアップしてきて、過去の恨みつらみも混ざってきてしまうことがあります。そんなことを言うと、相手は冷静さを失うでしょうし、「またあの話になる」とコミュニケーション全体を避けるようになります。相手が取り組めるのは「現在」の問題だけです。


③ 火は小さいうちに消せ

問題が大きくなり、こじれてしまう前に話し合う習慣をつけることは、大きなプラスがあります。


④ 人間を、その行動と区別する

これは「期待のずれ」という見方をすることそのものだといえますが、問題にするのは相手の行動であって、人格ではありません。人格攻撃をしないで事実について話すことが大切です。


⑤ 相手は何を期待しているのか認識できるように話す

相手の言いたいことを決めつけずに、相手が本当に期待していることは何なのかをていねいに調べていくことが必要です。相手の期待を正確に理解しない限り、その先の対応を決めることはできません。


⑥ 評論家にならない

「私のきもちは・・・・」と、自分を主語にして気持ちを話すことが大切です。


⑦「いつも」とか「全然」という言葉を使うのを避ける

「いつも」とか「全然」というのは、事実を話しているようでいて、実際には事実ではなく感情にまかせて話をしています。「いつも」ではなく、「○○のときに」というふうに、問題にしている言動が起こった時期を特定しましょう。



■ 話し合いの習慣の作り方

コミュニケーションをとることを習慣にすることが大切です。 話し合いで一度ずれを埋めることができても、引き続き期待やコミュニケーションをチェックしていかないと、またずれが起こって広がってきてしまいます。そして、一度うまくいった後に事態が後戻りしてしまうと、「すべての努力が無駄だった」と絶望感を強めることにもなりかねません。 おすすめは、「毎週○曜日の△時は話し合い」というふうに決めることです。あるいは、「毎月第3金曜日の夜は外食をしてゆっくりと話をする」というのもよいでしょう。日時はお互いに無理のないときにします。用事ができて話し合いの時間がとれなくなったら、必ず別の日に振り替えます。そうしないと、何となく習慣が消えてしまい、「相手は本気ではなかった」ということになりかねないからです。 日時を決めることのメリットは、話し合いで「言い忘れたこと」、「後で思いついたこと」を次の話し合いの機会に自然に話すことができるということです。



■ 大切なことは「自己理解」

最初にも述べましたが、人間関係にストレスを感じたときは、落ち着いて次のことを深く考えてみましょう。 そこから得られる気づきによって自己理解が深まり、人間関係がより円滑になるでしょう。

◆ 自分から相手への期待
 ・自分は相手に何を期待しているのか?
 ・その期待は妥当か?

◆ 相手から自分への期待
 ・相手は自分に何を期待しているのか?
 ・その期待は妥当か?
 ・そもそも相手は実際にそういう期待をしているのか?

◆ 期待を伝え合うコミュニケーションは適切か?